紫のこころは今

2022年5月現在、「鎌倉殿」が盛り上がっていますが、2024年度のNHK大河ドラマの主人公が「紫式部」に決定しました。
普段は連続ドラマの類は観ませんが、これは是非、追いかけたいと思っています。

紫式部といえば、古典「源氏物語」の作者。
中々どうしてセンセーショナルな内容ですが、執筆当時から現代に至るまで、ずっと愛されてきた物語です。

紫式部は「源氏物語」を執筆しただけでなく、平安時代の最も有名な政治家のひとり、藤原道長の娘・中宮彰子に仕え、宮中の出来事・行事を中心とした「紫式部日記」を記しています。権力中枢の様子や風習・風俗を紐解く史料として「源氏」と共に貴重なものとされています。

当時は「印刷技術」なんてものはなく、とにかく「写本」(書き写す)。それ以前に「紙」自体がとても高価で貴重なものでした(それが読み解ける記述もあります)。
オリジナル原稿が遺っている筈も無く、現代に伝わるテキストは写し継がれてきた後年の「写本」によるものです。人の手による「写し」ですので、オリジナルそのまま、とはいかないこともあり、今なお新発見は尽きません。
なので時折、旧家の書庫から「発見」され、ニュースになったりします。
2022年4月にも国宝で欠損となっている部分を含む藤原定家の注釈書の一部が発見されで話題になっていました。
「注釈書」とは、語句や専門用語などの補足・説明をするためのテキスト。
藤原定家は平安末期から鎌倉初期に活躍した歌人ですが、「源氏」成立から200年以上後の人。同じ「平安時代」といえど、「そのまま同じ」とはいかないことが分かります。

その時代ごとに読みやすい「現代語版」が発表され、読み継がれていたことから、いわゆる「原典」は同じでも、その時代の視点を含んだ調整・修正がされていることが多いとか。
「源氏」にはセンセーショナルな要素がたくさんありますが、時代ごとに議論に最も取り上げられる「けしからんポイント」が違う、という論点もあります。

今度の大河では、紫式部のどの側面にスポットを当てて描くのでしょう?
切り取り方、見せ方も時代の流れを映します。個人的には女性主人公にありがちな、恋愛を主軸にした描き方をされなければいいと願っていますが(恋愛要素を否定する意図はありません)、どうなることやら。2021年のジェンダーギャップ指数156カ国中120位の汚名を返上できる流れをつくれると良いのですが。

余談ですが、「原典」となる確たる原稿がない古典の場合、数多ある写本・異本を集めて比べて検証した、復元本。おおよそ「もと」に近いだろうとされる、信頼のおけるものを「定本(ていほん)」といいます。あらゆる古典籍に存在します。
それに対して、同音異義で「底本(ていほん)」は、写本などの複製元、あるいは翻訳したり注釈をつける際に根拠とする本のこと。似ているようで、まるで違う。面白い世界ですよね。

コメント

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