産休・育休7(冬過ぎて 春来にけらし)

育休明けの社内校正担当者です。
暦の上では、春。寒いばかりでは無くなってきました。
大学入学共通試験が終わった頃に、毎年SNS等で古文や漢文のカリキュラム不要論が流れるように感じますが、その反証も同時に流れてくるので、論拠として挙げられる具体例が面白くて、密かに楽しみにしています。
なお、私は古文・漢文は絶対にカリキュラムから除いてはいけない派です。

古文・漢文とは少し違いますが、この頃とみに思い出すのが、カール・ブッセの詩、「山のあなた」。私は高校の聖書の授業でこの詩に触れ、早やうん十年……。内容的に、座右の銘の様に掲げる類のものではありませんが、折々に思い出します。
そっと寄り添う、心を温める……。
過去の記録にアクセスする為だとか、異なる国・文化を知るといった実用面だけではない「文学」の良さ、人間にとって大切な部分の内の一つは、こういったところではないかと思います。

さて。昨年7月に育休から復職して8か月。
朝イチの検温に一喜一憂し、保育園からのコールにそわそわしつつの半年強でしたが、このままでは立ち行かなくなると会社からご懸念等々を頂き、この度、退職することとなりました。
会社、所属する制作部の皆さんを始め、家族の支えと協力を頂いておきながらの結末という体たらくに、申し訳なさと悲しみが募ります。
せめて残りの勤務日、頑張れるだけ頑張りたいと思うこの頃。
桜散る4月末でお別れです。
約10年、大変お世話になりました。皆々様、お元気で。

山のあなたの空遠く
さいはひ」住むと人のいふ。
ああ、われひとゝめゆきて、
涙さしぐみ、かへりきぬ。
山のあなたになほ遠く
さいはひ」住むと人のいふ。

(「海潮音」上田敏訳より『山のあなた』カアル・ブッセ より)

上記は青空文庫(https://www.aozora.gr.jp/cards/000235/files/2259_34474.html)より引用。表記等原文ママ。

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