あるある事例① ワークライフバランスと言われても、みんなが働いているのに自分だけ休みます、とは言いづらい。
あるある事例② 同僚が休暇をとると、正直「休まないで欲しいな……」と思ってしまうことがある。
あるある事例③ 職場内で休暇を取れる人と取れない人の差(不公平感)が生じてしまう。
どうも、マルワのシャドーサイドあれこれ担当です。
ワークライフバランスへの取り組みを実施している企業は多いと思いますが、今回はその中の「休み方改革」について、要約するとこんな内容になります。
「休みがあるから仕事が上手くいく!お互いフォローしあって、誰もがそれぞれの都合で休める環境を作りましょう!」
そんなの当たり前でしょ?と思われそうですが、当たり前がなかなか当たり前にならないのが当たり前だったりするので、何かの参考にしていただけたら幸いです。
本ブログに記載する事例などはネットなどに書かれているものを参考にしたものであり、当社を含めた特定の企業の事例ではありません。ご了承ください。
1.なぜ休み方改革が必要なのか?
「休み方改革」は働き方改革の一部で、その名の通り「休みやすい環境作り促進」のための取り組みです。
休み方改革が必要な理由には、次のようなことがあるようです。
- 長時間労働の是正(それによる心身の健康被害の改善)
- 柔軟な休暇取得による生活の充実
- 休日分散による休暇の充実※1
- 有給休暇取得率向上※2
※1 柔軟な休暇取得の促進により、年末年始・お盆・大型連休など特定の時期の観光地などの混雑やそれに伴う交通渋滞の緩和(交通事故減少)などの効果も期待されています。
※2 1年間の全従業員が実際に取得した有給休暇日数を1年間に会社が付与した全有給休暇日数(繰越付与日数除く)で割ったもの。厚労省の令和4年就労条件総合調査によると、日本の平均はわずか58.3%です(先進諸外国は90%くらいが当たり前)。
休み方改革推進として、政府は2025年までに有給取得率70%達成などを目標とした「仕事休もっ化計画」を掲げて、休暇が取得しやすい職場環境の整備を企業に促し、それを後押しする施策を行っています。
ちなみに、当社の所在する愛知県には、愛知県「休み方改革」イニシアチブ賛同企業・団体の登録制度や、愛知県「休み方改革」マイスター制度といった休み方改革を推進する制度があります。
2.労働者の休日と休暇
ところで、労働者の「休む」にはどのようなものがあるのかご存知でしょうか?
まずは「法定休日」があります。これは文字通り法律で定められた休日で、「1週に1日、または4週に4日以上の休日」を与えることは、すべての事業者の義務です。
休日には「法定外休日(所定休日)」という企業独自に定めた休日もあります。1日の勤務時間が8時間の場合、1週1日の法定休日だけでは、1週40時間労働(法定労働時間)を超えてしまうので、法定外休日を定めて(週休2日にして)法定労働時間に収まるようにしているところが多いと思います※3。
※3 1日の労働時間が6時間など週の労働時間が40時間以内、または40時間を超えた分は割増賃金が支給される場合は、法定外休日なしというところもあります。
「休日」とは別に、企業の営業日(勤務日)であっても、取得者は休むことができる「法定休暇」もあり、これらは雇用形態に関係なく、一定の条件を満たす全ての労働者が取得できます。
- 年次有給休暇(勤務年数により付与日数は異なります)
- 産前・産後休業
- 育児休業
- 子の看護休業
- 介護休業
- 生理休暇
さらに、企業独自の休暇制度(法定外休暇)※4があれば、それらの休暇を取得することもできます。
※4 法定外休暇の例(企業により種類や日数は異なります)……慶弔休暇、夏季・冬季休暇(休業)、リフレッシュ休暇、創業記念日休暇、誕生日休暇、ボランティア休暇 など
ということで、有給休暇などで誰かが休むことは「当たり前」のことです。
あるある事例①や②のように思ってしまうことで、休暇を取ることがストレスになってしまわないよう、お互い快く休暇制度を活用できる環境にしていきましょう(もちろん、同僚や上司・部下への感謝の気持ちは大切です)。
3.休めない理由と休まないリスク
法定・法定外(企業独自制度)をあわせて様々な休暇・休日がありますが、それでも休み方改革に取り組まないとなかなか休めない(休みにくい)のはなぜか……
- 日本型雇用による役割の不明確さ
- 責任感の強さ
- 人手不足(代わりの担当者がいない)
- 同調圧力
- 休暇への理解不足
……などの理由があると言われています。
職場に自分同等のスキルや知識を持った人がいない、慢性的に人手が足らない、上司が休まないのに自分は休むなんて言えない、休暇を申請したらイヤミを言われる※5……など様々な「負の要因」によって、「休みたくても休めない」「休むのは良くないことという雰囲気」が当たり前化してしまうことがあります。
※5 従業員からの有給休暇など法定休暇取得の申請について、企業が次のようなことを行うことは法令違反になります:「休暇取得を認めない」「希望日とは異なる日への変更の強要(正常な事業に支障が出る場合に限り時季変更を「お願い」することは可能)」「代わりの人員を自身で確保することを休みの条件にする」「雇用形態を理由に休暇を認めない(アルバイトには有給休暇を認めない、など)」「有給休暇の場合に、休む理由によって可否を決める(旅行に行くという理由では有給休暇を認めない、など)」「計画有給の場合を除き、閑散期の人員調整など会社都合の休業を有給休暇として処理する」
あるいは、休暇も取らず休日も返上して仕事する自分って超頑張り屋!と思っている人、自身のスキルアップのためにも休暇なんて取ってられない!という人、そのような社員が「頑張っている」として評価される社風……などにより、休みにくい雰囲気が醸成されることもあり得ます。
ですが、そうした(悪気の有無に関係なく)休暇取得に対するネガティブな意識や状況が当たり前化すると、職場全体の生産性低下&職場環境悪化の原因になり、社員の離職増加リスクにもなり得ます。
また、有給休暇などが取得しやすい企業であっても、どうしてもあるある事例③のように、休める人・休めない人で差ができてしまい、一部の社員が不満に思ってしまうこともあり得ます。
休み方改革と並行して、「複数業務ができる人材の育成(欠員補充)」「作業手順の標準化(マニュアル化)や自動化」なども実施して、いつ・誰が休んでも業務に支障がでないようにする(いつでも・誰でも休めるようにする)ことも大切です。
根性論(以前ここのブログでも書きました)的に「上司が仕事を休むなんて無責任だ」「若いうちは私生活を犠牲にしてでも仕事を頑張るべきだ」ではなく、適切に休むこと、仕事以外の時間も大切にすることは、仕事に必要なスキルや知識の向上などにも役立つはずですし、適切に休暇が取れる職場(企業)は社員満足度も高くなり、人材確保や社会的な信用の向上なども期待できます。
休みたいときに、誰でもちゃんと休める、そんな職場がいいですよね!
今年から愛知県では「あいち県民の日・あいちウィーク※6」「ラーケーションの日※7」など子どもの休暇促進の取り組みがスタートしますが、それらの取り組みも「休み方改革」の一環かな?と思ったところから書いた小話でした。
※6 あいち県民の日・あいちウィーク…11/27をあいち県民の日、その前の1週間をあいちウィークと定め、あいちウィーク中の平日の1日を公立小中高校などの休校日とする制度(今年は24日か27日を休校日として土日とあわせて連休とする市町村が殆どのようです)
※7 ラーケーションの日…年3日(令和5年度は2学期スタートのため2日)学校外で家族と一緒に学ぶ機会を持つための子どもの休暇制度(欠席扱いにはならない)ですが、親もそれに合わせて休むことが前提のため、休暇促進が期待されているようです
幸い当社は休暇を取得しやすい会社、と社員からも評価されています(社員アンケート結果)が、国や自治体の方針に従って労働環境を整備・改善していくことは、やはり企業の社会的責任(CSR)といえそうですね。
そんな私の本日の脳内DJのパワープッシュは、UKインディーポップ界のゴッド・ファーザーともいわれるカルトスター、Vic Godard (Subway Sect)の大名曲、Orange Juiceのカバーでもおなじみの “Holiday Hymn”でした!
この歌のように、心穏やかに、歌でも歌いながら、充実した休日を過ごせることは、生活を豊かにすることですし、生活が豊かな方がいい仕事ができる……はずですよね。
休むって大事です。