職場の常識、再点検 part.7 ~従業員の個人情報の利用とプライバシー~

あるある事例① 自社のWEBサイトやSNS、会社案内などに従業員の写真や氏名を掲載しているが、それについての取り決めは特にない。

あるある事例② 退職者の写真や氏名がWEBサイトなどに掲載されたままになっている。

あるある事例③ 従業員のプライベートな情報を自社のSNSなどで紹介する際に、わざわざ本人の許可は得ていない。

どれもありがち、というか、別に問題ないでしょ?と思われがちな事例ですが、ネットなどによると、これらが原因のトラブルも発生しているようです(訴訟問題になったケースも)。

 

どうも、マルワのシャドーサイドあれこれ担当です。

本日はそんな従業員の写真などの業務利用についての小話で、要約すると、

従業員の情報も個人情報であり、プライバシーの権利・肖像権もあります!ちゃんと同意を得たうえで、適切に利用・管理しましょう!

ということになります。

毎度ながら、そんなの当たり前やん!というような内容ですが、案外曖昧なままになっているかもしれないので、この機会に確認してみてはいかがでしょうか?

本ブログ記載のNG的事例はネットなどに掲載されているような一般的事例であり、当社を含めた特定の企業の事例ではありません。ご了承ください。


自社従業員でも個人情報利用についての同意は必要

当社もそうですが、企業活動としてSNSやブログなどを活用する機会が増えたことで、以前よりも従業員の写真などをそれらに利用(公開)する機会は増えていると思います。

どんな社員がいて、その人はどんな人なのかを知ってもらうこと、写真や動画で視覚的に情報を伝達することは、お客さまにもわかりやすく、効果的な場合があります。

しかし、一方で、写真を撮られたくない(ネット上などに公開されたくない)という人もいますし、プライベートな情報を知られたくないという人もいます。

当然、従業員という立場であっても、プライバシーを守る(守られる)権利があり、みだりに自身の容姿を利用されない権利(肖像権)もあります

また、写真や映像その他個人を特定可能な情報は個人情報なので、自社従業員であっても本人の許可なく利用することはできませんし、本人が拒否しているものを強引に利用(公開)することもできません。

仕事の一環なんだからそれくらいは……と思われる人もいるかもしれませんが、基本的には従業員であっても撮影前にちゃんと何のために撮影するのかを説明して、撮影&利用について、本人の同意を得ておきましょう

なお、防犯のために防犯カメラで店内(事務所内)の様子を常時録画しておくような場合も、事前に理由などを説明し、従業員の同意を得ておきましょう。

従業員個人情報の企業取扱い等についての同意取得方法には、例えば次のような方法があります(あくまでも一例です)。

  • 入社時や契約更新時などに在職中の撮影および写真利用について適切に説明し、同意書※1提出してもらう
  • 撮影の度に何に使用するために撮影するのか説明し、同意を得る(口頭でも可)

※1 同意書には、企業が取得する個人情報の種類・利用目的・管理手順・異議や削除の要請手順・同意は強制するものではないことなどを明示しておきましょう。そのうえで、本人が拒否する場合は、撮影しない・利用(公開)しないことも約束しておくと従業員は安心できるはずです。

当社でも、入社時に撮影と写真などの利用を含めた在職中に会社が取得する個人情報についての説明を行ったうえで書面による同意を得ていますし、撮影時も何のために撮影するのか口頭で説明してから撮影しています。

 

同意を得られない場合は、写真などを撮影・利用しない、少なくとも、個人が特定可能な(顔などがわかる)ままで使用しないようにしましょう。

 


退職者の写真利用は要注意

従業員の個人情報で問題になりやすいのは、退職後も写真などをWEBサイトなどに掲載し続けている場合です。

一般的に従業員の写真など個人情報の利用については在職中についての同意であり、退職後についての同意にはならないと解釈されるからです(在職中の利用はOKでも、退職後はNGという人も多くいます)。

何らかの理由で、退職者の写真などを退職後も継続して利用したいのであれば、退職者との間で「退職後の写真などの利用について」改めて(原則書面で)同意を得るようにしましょう(当社も必要な場合は退職時に同意書を取り交わしています)。

また、同意とともに、退職後の個人情報についての問合せ先を明示※2して、もし自身の写真などを削除して欲しい場合に容易に要請できるようにしておくことも必要です。

※2 企業が保有する個人情報についての開示・訂正・削除等要請のための窓口(問合せ先)の明示・公表は個人情報保護法により、すべての個人情報取扱い事業者に求められています(事業者の責任です)。

 

とはいえ、企業が公開する情報の正確性や鮮度の観点からも、いつまでも退職者の写真が掲載されたままのような状態はよくありません。

退職後の写真の利用についての同意有無にかかわらず、できるだけ速やかに退職者の写真は差し替えて、「最新の」情報を公開するようにしましょう。

  


写真以外のプライバシーも守られるべきもの

従業員の個人情報・プライバシー保護としては、就業中や会社行事中に撮影した写真や動画以外にも、次のような情報を不適切に利用されないことも含まれます。

  • 生年月日や出生地、出身校、居住地、家族構成、趣味などプライバシーにかかわる情報
  • プライべトで撮影した写真や動画、個人的に送ったメールや手紙など業務とは関係ない情報

要するに、基本的にすべての「個人に関する情報」は、本人の同意なく取得・利用することはできませんし、仕事のためであってもプライバシーを侵害していはいけない、ということです。

悪気はなくても、本人の同意(許可)を得ずに、「〇〇大学出身のAさん」とか「△△県△△市出身のBさん」というように社員を紹介したり、プライベートで撮影した同僚の写真や個人的に送られてきたメールやLINEの文章・スクショ画像をネット上に公開したりするのは避けましょう。

 

なお、在職中・退職後に関係なく、自社従業員についての個人情報であっても、その他の個人情報同様に適切に管理しなければなりません。

  • 取得時に利用目的を明示して同意を得る
  • 同意した利用目的以外で利用しない
  • 関係者以外に利用・閲覧させない
  • 本人の許可なく第三者に情報を提供しない
  • 本人からの開示・削除などの要請に遅滞なく、かつ適切に応じる

といったことは、情報を利用する側の責任(義務)です!

 


もちろん、従業員に限らず、事業活動の中で取得する、あらゆる個人情報の保護、およびプライバシーへの配慮※3は必須です。適切に管理&利用するようにしましょうね!

※3 お客さまやイベント参加者を撮影する場合、イベント申込書に撮影と写真利用への同意も含める、撮影時に声がけして同意を得る、問合せ先を明示する、同意が得られていない場合は顔などにぼかしを入れるなど加工する、社内でそれらのデータを保管する場合は関係者以外アクセスできないよう制限する、など

 

……ということで、本日の脳内DJのパワープッシュは、80’sから今も現役のUK大御所バンド、The CUREの“Pictures of You” です(ほぼタイトル一発)。

ティム・バートン監督の名作「シザーハンズ」の主人公のビジュアルモデルになったことでも有名なボーカル、ロバート・スミスの耽美的でゴスくも切なげな歌声と悲しい歌詞が特徴の名曲です(8分30秒くらいの長い曲ですが)。

この歌でも「あなたの写真」がとても大切なものであり、主人公の唯一の支えのように歌われています(それが損なわれてしまって途方に暮れている……というような歌詞ですが)。

そう、写真も含めた個人情報は本当に大切なものなのです!

ということで、本日はこの辺で。

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