どうも、マルワの裏方あれこれ担当です。
「清掃員スキリの事件簿(著作権トラブル編)」の第4弾、今回はデザインを外部に依頼した場合の著作権の取扱いについての内容です。
対価を支払って誰かに作成してもらったロゴやキャラクター、チラシやWEBサイト……などは納品後依頼者が自由に使えるの?著作者は依頼者?それとも制作者??
などなど、曖昧なままにしておくと、後々トラブルになってしまうかもしれません。依頼者もクリエイターも正しく認識し、適切な契約(合意)をしておく必要があります。
―清掃員スキリの事件簿―
著作権トラブル編 Vol.04デザイン発注の落とし穴
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【登場人物】
スキリ: デジタルリスク管理のスペシャリストであるが、ある事情から現在は清掃員として働いている。豊富な知識と鋭い観察眼を持ち、社員からの信頼が厚い。本作の主人公。
イシカワ: 法務部主任。普段は優しいが、一度怒ると怖い。
ヌケオチ: 広報部所属。マジメだが少しうっかり者。またしてもトラブルに巻き込まれてしまった。
著作物の権利は誰のもの?
日本の某所。××(ばつばつ)株式会社。
スキリはいつものように廊下をモップで磨いていた。会議室の前を掃除していると、中からイシカワ主任の声が聞こえてくる。

ヌケオチさん、当社の新しいパンフレット、外部のデザイナーさんに作ってもらったんだよね?念のため契約書を確認したいんだけど、見せてもらえる?

えっ、契約書ですか? ……特に交わしてないです。電話で知り合いのデザイナーさんにお願いして、条件を伝えたら『OK!』って言ってもらえたので、そのまま作業してもらって、納品まで終わったので大丈夫かと……。

今回、パンフレット用に描き下ろしてもらったキャラクターは、今後ほかの印刷物やWeb広告などにも展開予定だって、事前に説明があったはずだよね?契約で整理されていないと、別用途で使えない可能性があるんだよ……。
二人の会話が気になって、モップを片手にスキリが様子を見に来る

イシカワ主任、ヌケオチさん、またまた何かあったのですか?

スキリさん、ちょうどいいところに。外部デザイナーさんから納品されたキャラクターデザインの著作権の扱い(譲渡や利用許諾)を契約で決めていなかったようで……。それどころか口約束だけで発注していて……。

なるほど……。著作権は原則として “創作した人” に帰属します。発注や支払いをしただけで、自動的に発注側へ移るわけではありません。契約で『どこまで使っていいか』『譲渡なのか許諾なのか』などを明確にしておかないと、後からトラブルになりやすいんです。

でも、制作費はちゃんと払ってますし、デザイナーさんからデータも送ってもらってます。これって、こちらで自由に使っていいってことじゃないんですか?
スキリがゆっくりと説明をはじめる。
制作費を支払った&データをもらった=自由に使っていい?

“著作物を受け取った”ことと、“著作権(利用する権利)を得た”ことは別なんです。たとえば、パンフレットという著作物(紙やPDF)を“受け取る”のは納品の話。一方で、そのデザインやキャラクターを別の媒体に転用する・改変する・第三者に渡して別制作をするといった権利(著作権)までは、事前の取り決め(合意)がない限り含まれません。

市販の音楽CDを購入したとして、そのCDを所有したり、自分のプレイヤーで聴くことはできますが、CDをコピーして量産・販売したり、楽曲を勝手に改変して “自分の作品” として公開したりしてよいわけではありませんよね。著作物の制作を誰かに依頼した場合も、事前の取り決めがなければ基本的にはこれと同じなのです。

パンフレット以外でもキャラクターを利用することは伝えていませんでした。それではダメなんですね……

外部デザイナーに依頼するなら、少なくとも次のようなことを発注前に確認しておきましょう。条件を出して、相手の希望も聞き、双方が納得できる形で “記録に残る形” で合意しておく必要があります。
- 使用範囲:社内利用/社外配布/Web掲載/広告出稿など、どこまでOKなのか
- 著作権の扱い:譲渡か/利用許諾とするか/譲渡も利用許諾もなしか(納品のみ)
- 二次利用の可否:別媒体(紙媒体→WEB広告)・別企画(パンフレット→キャラクターグッズ)への展開可否
- 改変の可否:トリミング、色変更、合成、サイズ変更など
- クレジット表記の要否(表示する場合どのように表示するのか)
- 納品物の範囲:成果物のみか、PDFや編集可能データまで含むか など

なるほど……。では、今のままキャラクターを別用途で利用してはダメなのですか?

今のままでは使ってはダメ、と考えておくのが安全ですね。別の印刷物やWeb広告などへの展開は、当初の利用目的(パンフレット用)を超える二次利用になると考えられるからです。許諾や利用範囲の合意がない状態でそのような利用をすると、『そんな用途は認めていない』『別料金・別契約が必要』と言われてしまう可能性が残ります。
事前にデザイナーさんと条件を合意して、契約書やメール等で残しておけば、お互い納得できるはずです。著作権譲渡契約でも利用許諾契約でもOKですが、要は “どこまで使えるか” を具体的に決めることが重要です。

特に、『翻案(改変)に関する権利(著作権法27条)』と『二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(同28条)』は重要で、著作権を譲渡する契約であっても、譲渡対象として明記されていないと譲渡されないものと推定される可能性があります。つまり、契約でここを曖昧にすると、自由に使えるように権利を譲渡してもらったつもりでも、『改変NG』『別媒体展開は別料金』となってしまうかもしれないのです。

口頭でも合意自体は成立し得ますが、後から『言った・言わない』になりがちです。すぐにデザイナーさんに連絡をとってください。事情を説明して、適切な契約(追加合意)を提案します。応じてもらえるかどうかはデザイナーさん次第ですが……。

わかりました、すぐにデザイナーさんに連絡します!
その後、デザイナーと××株式会社の間で、キャラクター利用についての正式な契約書が締結され、利用範囲、改変可否、二次利用、第三者提供の可否、対価などを整理し、双方納得のいく形で合意できた。
また、××株式会社では、臨時の幹部会議が開かれ、「外部デザイナーや制作会社に著作物作成を依頼する際の契約(書面化)の徹底」「広報担当への著作権に関する契約実務研修の実施」「譲渡・利用許諾が必要なケースの事前相談体制の整備」が決定した。
制作物の著作権トラブルを防ぐための三箇条
- 「著作物作成依頼&納品=著作権も得られる」ではない! 依頼した著作物が納品されても、著作権(著作財産権)は原則として作成者に帰属します。利用範囲や改変の可否などについては契約で決めておきましょう。また、納品範囲(成果物のみ/成果物とPDF/成果物と編集可能な元データなど)も契約や発注条件により異なるため、事前に決めておきましょう。電子データ納品でも、利用範囲・改変・第三者提供の可否は契約で明確化しておくのが安全です。
- 契約書(または合意の記録)なしはトラブルの元! 口頭合意でも契約は成立し得ますが、後で揉める原因になるかもしれません。合意条件は文書(電磁的記録を含む)で残すのが安全です。
- 自由度が必要なら「譲渡」または「包括的な利用許諾」で、範囲を明確に! 多用途展開・改変・第三者提供などがあり得るなら、譲渡か利用許諾かを含め、利用範囲や改変可否を具体的に合意しておきましょう。特に翻案(27条)や二次的著作物(28条)に関わる利用については注意が必要です。
この後、スキリに次なるトラブルが待ち受けているのですが、それはまた別のお話で……
いかがでしたでしょうか?
紙の印刷物の場合、事前合意がない限り、納品されるのは紙の印刷物のみであり、印刷物に使用したデータは含まれません。
ロゴやキャラクターのデザインを依頼し、電子データで納品してもらう場合も、事前合意がない限り、納品されたデータは制作依頼時に提示した利用目的のみで利用可能となります。
特にロゴやキャラクターなどは様々な用途(媒体)で利用することがあるので、必ず事前に制作者との間で条件などを確認し、双方が納得できる条件で契約しておきましょう。
ということで、今回のBGMは、本編の内容とは一切関係ありませんが、先月の来日公演も好評だったUSインディーユニットWinterの“Wish I Knew” です!
「知っていたら良かったのに(知らなかったから困っている)」ということがないように、著作物の作成を誰かに依頼する際には、事前に「こういうつかし方もしたいから、どのように契約したらいいのかな?」とちょっと立ち止まって考えることと、制作者へのリスペクト、それが大切ですね。


