対岸の火事~防災について考える~

「対岸の火事」という言葉があります。自分には関係ない、とつい他人事のように感じてしまう出来事を指す表現ですが、いよいよこの言葉では片付けられない事態が相次いでいるのではないでしょうか。

ここ最近のニュースを見ると、象徴的なのが、各地で増えているクマの出没・被害、そして相次ぐ大規模火災です。
クマ被害については、都市部に近い地域でも目撃が相次ぎ、「まさかここに?」という声が多く聞かれます。これまで山奥の話と思われていたものが、いまや生活圏のすぐそばまで迫ってきているという現実。背景には生息域の変化やエサ不足、人里との距離が縮まっていることなど、様々な要因が重なっています。
しかし危険が増した一番の理由は、私たちの「自分の地域は大丈夫だろう」という油断かもしれません。対策を後回しにしてしまうと、いざ遭遇したときの判断が遅れ、被害拡大につながってしまいます。実際にマルワのある愛知県、特に名古屋市ではまだまだ「対岸の火事」という捉え方が多いのが現状です。

一方で、大規模火災もまた深刻。国内外問わずに火災のニュースが続き、大きな被害に繋がっています。「原因はそれぞれ異なり、一つではない」と言われていますが、老朽化した設備、ちょっとした不注意、乾燥した季節の影響など、複数の要因が重なると一気に大きな災害へと発展します。
特に火災は、一度発生すると個人の努力では止められず、周囲の建物や地域全体を巻き込みます。まさに“対岸どころか同じ川沿い”の危険が、いつでも起き得るわけです。

そこで防災の視点から改めて考え、私たちが今できることは何でしょうか。
クマ対策では、、ゴミの出し方を見直し、食べ物の匂いが外に漏れないようにしたり、ハイキングや早朝の外出時に熊鈴やクマよけスプレーやラジオを持ち歩くなど、小さな工夫が命を守ります。いざ遭遇した際の身の守り方を学ぶのも大切です。

火災対策では、家のコンセント周りのチェック、換気扇やレンジフードの掃除、ストーブや充電器の管理など、“今日できること”が多くあります。企業としては、避難経路の確認や消火器の使用訓練など、基本の防災を改めて見直すことが重要です。企業ではBCP(事業継続計画)を見直し、改めて周知することも大切。

私たちはつい、危険を「遠くの話」として捉えてしまいがちです。しかし最近の出来事は、自然災害も事故も、境界線を越えてこちら側に迫ってくることを表しています。「対岸の火事」と油断する前に、生活環境と働く場の両方で、人災にならないように身近な備えをもう一度点検しませんか。

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