よくフォントのパッケージや書籍、見本帳などに「永」の文字が使われています。
この理由として「永」という字にはすべての文字に応用できる筆法を含んでいるからということは知っていたのですが、これを「永字八法」ということは最近知りました。活字のデザインにも応用されているそうです。
書道を習っている人には基本中の基本だということですが、私のように書を知らない人間にとっては新鮮なことだったので、少し調べてみることにしました。
八法というのは下図のように八つのパーツに分かれていて、それぞれに意味があるそうです。
① 側(そく)……点
由来:筆と筆先の側面を使って抉るように書くことから
② 勒(ろく)……横画
由来:馬の革紐(勒)を引き締めるように書くことから
③ 努(ど)……縦画
由来:石弓で石を遠くに放つ前のように、縦画の中央部が左に反るように書く
④ 躍(てき)……横画や縦画からのはね
由来:雉の尾のように高く抜きん出るように躍り上らせて書くことから
⑤ 策(さく)……斜め右上へのはね
由来:鞭(策の漢字の脚の部分)で叩くように書くことから
⑥ 掠(りゃく)……左はらい
由来:長い髪を梳る(すく、くしけずる)ようにゆったりと左に払うように書くことから
⑦ 啄(たく)……短いはらい
由来:キツツキが木を叩く(啄む)姿から
⑧ 磔(たく)……右はらい
由来:肉を引き裂いて金刀が骨まで達するように力を入れてじっくりと右にはらうことから
言葉の由来を見ると、それぞれの情景が想像できて、とても面白いと感じたのと同時に、世の中にあふれている様々なフォントを覚えるには、それぞれの「永」の特徴を知ることも役立つのではないかと思いました。
下にいくつか社内で使用している明朝体の「永」を並べてみましたが、よく見ると全てに「はね」「はらい」「点」の特徴が見られますね。
なかなか面白いと思いませんか?
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