だけじゃないんです

制作部で主に文字物を担当していると挨拶状を作成する機会が多くあります。
最近では、原稿のほとんどがPCで作成されたもので、挨拶状の体裁も比較的整ったデータが入稿されているので、「データがあるのだから流すだけでしょ!」と思われがちですが、挨拶状には古くから引き継がれているルールがあるので、挨拶状を受け取った人に失礼にならないように配慮する必要があると思っています。


そこで挨拶状を作る際に気を付けているポイントを少し紹介してみたいと思います。
ビジネス文書で個人が出すことの多いのが異動や退職ですね、以下のような挨拶状を例とすると

挨拶状

①頭語
頭語と結語は決まった組み合わせがあります。たとえば「拝啓/敬具」「謹啓/謹言」などですが、組み合わせが間違っていないか確認が必要です。

②時候の挨拶
時候の挨拶は⑥の日付を確認します。1月ですと、小寒の候、厳寒の候、大寒の候が使われるますが、2月になると酷寒の候や立春の候となるので、校了になる時期によって変更します。

③さて私こと
 挨拶状でよく使われる言い方「さて 私儀(わたくしぎ)」「さて 私こと」は、行末に配置します。本文よりも1つ小さいサイズにして行の一番うしろへ持っていき、そこから一文字分だけ戻ったところに置きます。
理由としては「個人的なことで恐縮ですが」という自分を遜って表すためです。文章中に「私こと」が入る場合も、本文よりも1つ小さいサイズにします。

④段落落とし(1字下げ)は使用しません
縦書きの挨拶状の場合の句読点「、」「。)」は以下の理由から使用しないのが一般的です。
日本語は元来、句読点は文章の中で存在しなかったため、学校で子どもが読みやすいように明治時代に付けられるようになった経緯があります。ですから目上の相手に出す場合、句読点を用いることは失礼にあたると考えられています。また、慶事のご挨拶等、喜びの出来事は長く続いた方が良い為、区切りをつけないという意味でも句読点は用いないという習慣もあります。この場合は句読点の代わりに空白スペースを使用します。
ただし、厳格なきまりではないので、原稿に句読点が入っている場合はお客様に了解を得る必要があります。

⑤結語
敬具や謹白などの「結語」は後ろから一字分あけて行末に配置します。その際「敬 具」
「謹 白」のように間にスペースをいれます。

挨拶状は後々まで残るものではありませんし、体裁にそれほどこだわらない方もいらっしゃいますが、「流すだけ」で終わりたくないなと思ってしまいます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました