こだわりと、価格設定と

みなさん「こだわり」と聞いて、どんな印象をお持ちでしょうか。

「店主が、こだわって作った蕎麦」と「店主が、こだわらず作った蕎麦」では「店主が、こだわって作った蕎麦」の方が美味しそうな気がします。

例題が極端でしたが「こだわっている」と「こだわっていない」なら「こだわっている」の方が、良い品質と感じないでしょうか。

最近知ったのですが、この「こだわり」は、もともと【他人にとって、どうでもよいことや、つまらないことに心がとらわれて、そのことに必要以上に気をつかうこと】という意味で「細かいことに、こだわってないで早く作業を終わらせて!」というように、あまり良い意味の言葉ではありませんでした。

それが、いつのまにか「細かいことまで気を使う」と良い意味で使われるようになったそうです。

ということで、今回は「ワクワクぷりんと博覧会」で、こだわって作ったコラボ商品の話です。

「退屈な日を特別な記念日に」をコンセプトに完成させた「たのしみくじ」を例にとってお話しします。

この「たのしみくじ」の「こだわりポイント」は

  • カードの厚みを出すため紙を貼り合わせている
  • 袋は内面も印刷している
  • 大きめの角丸加工
  • 見栄え重視。袋は折りにくい方向で製袋
  • 1枚販売版と、36枚セット版で袋のデザインが違う
  • 1枚販売版は、スタンピングリーフ付

こんな感じです。

当社のオンデマンド印刷機で印刷できる紙の厚みでは薄い印象があったので、片面ずつ印刷した紙を貼り合わせた仕様になっています。(社内で完結をコンセプトにしていたので協力会社さんには依頼せず、ハンドメイドで貼り合わせました)

そのおみくじを入れる袋は、中身が透けないように内面も印刷されています。

1枚1枚社内のカッティングプロッターで切って、空いた時間を見つけ、ちまちまと貼って袋を作りました。

折る箇所は浅く切れ込みを機械で入れて折るのですが、そのまま折りやすい方向に折ると白地が目立ってしまいます。

一度、折りやすい方向で折って、逆に折り返して白地が見えないように作っています。

これらの作業、他の人に相談したら「紙の厚みにこだわらず、貼り合わせなくてもいいのではないか」とか「市販の袋に入れたら効率的ではないか」と言われそうです。

「効率」を出されたら反論が出来ないので、誰に相談することなく進めました。

手作りに、こだわったわけではありません。

昔、SNSで、下記のような内容を見かけました。

「手作り」ではなく「品質」

「個性」ではなく「能力」であるべき

とても印象に残っているため、個人的に当社が出来る最大の「品質」と「能力」を見てもらいたいと考えながら企画しています。

例えば、洋食店のメニューに書かれた「手作りハンバーグ」の「手作り」には「シェフが丹精込めて作ったプロの技」という「品質」への期待であるわけで、いくら手作りであっても、わたしの母親が作ったような黒コゲの硬いハンバーグが、洋食店で出ては、やはりダメなのです。

芸人さんやお笑いタレントさん。一見すると「個性的」だから「面白い」と思われがちですが、コントの台本や、テレビ番組での返しや言い回し、間など、芸という「能力」によって面白いと感じています。

ということで、今回の「ワクワクぷりんと博覧会」では「印刷は面白い」を見ていただくためには、家のプリンターでは作れない「品質」と「能力」を見せなければと、勝手にこだわって作っていました。

それで価格です。

この「たのしみくじ」

1枚販売版は200円

36枚セット版は2000円です。

メロスは政治がわからなく、わたしは商売がわからないのです。

この価格設定、先程のこだわりを元に算出すると36枚セット版は4000円から5000円じゃないと儲けが出ません。

では、何故36枚セット版を2000円にしたのか。

紙博に行ったとき、行列が出来ているイラストレーター・たかはたまさおサンのブースで、お会計している方々の持っている商品を見ていて、感じたことがあります。

それは「お手頃な価格のモノを沢山の種類を買っている」ということでした。

具体的には5000円のモノを1点買うよりも、500円のモノを10点買いたいという傾向です。

よっぽどの大富豪でない限り、使える金額は決まっています。

肝心なのは、その使える金額は当社のブースだけで使う金額はなく、イベント全体で使う金額として決まっているということです。

わたしが想定したお客様のペルソナでは、予算は3000円から4000円。頑張って5000円ぐらいの見積もりでした。

その中で3000円以上の商品は、よほどのクオリティが無いと、選考に入れてもらえないと思い、2000円にしたという具合です。

他の主力商品も500円や1000円です。

松竹梅だと竹を購入しやすいという「極端回避性」のため、少量だけ5000円のモノを用意はしました。買ってくれらラッキーぐらいの思いでした。

「2000円じゃなくて3000円でも売れたのではいか」とも言われるのですが、その差額1000円分は、他社さんのブースで使ってくれたと思うようにしています。

「売れる商品を作る」のは命題ですが、当社社長が「ワクワクぷりんと博覧会」の言い出しっぺなこともあり、少しでも「ワクワクぷりんと博覧会」が盛り上がればと思っております。

とココで終わればいいのに、長くなっていますが、金額について2つ決めておいたことがあるので、最後にご紹介。

  • 1980円とかの価格にしない。
  • 割引セールをしない。

1980円とかの価格にしない

スーパーなどで見かける「お安い!」と思わせるテクニックですが「ワクワクぷりんと博覧会」のようなイベントでは、あまり通用しないかと思います。

まずニッチなイベントでは、1980円で買っていただける方は、2000円でも買っていただけると感じます。

あと、おつりとして10円玉を準備するものネックです。

価格を100円200円300円……にすれば、10円玉や50円玉を準備しなくても良いです。

500円1000円1500円……にすれば100円玉も準備しなくても良い。

1000円2000円3000円……にすれば硬貨を準備しなくても良い。

コチラが おつりが出る確率や、お客さんが細かく財布から出さなければいけない効率を考えても2000円に設定するのが良いと考えました。

金銭の受け渡しは極力スムーズにしたいのです。

割引きセールをしない

印刷物は、食べ物などと違って消費期限がありません。厳密には退色などするのですが、やはりその日に安売りして売り切らなくてもと思います。

それは数時間前に定価で買ってくれた人も「印刷物に消費期限なくない?」と感じるはずです。

自分だったらガッカリします。

作ったクリエイターさんも、ちょっとガッカリしてしまうのではないでしょうか。

楽しいイベントです。極力、みんなにガッカリさせたくありません。

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