知識と、信用・信頼と

4月の下旬、愛知県印刷工業組合にて、新入社員研修の講師をしてきました。

「営業に必要な企画とプレゼンテーション」というタイトルで、午前中に3人の講師による「印刷会社が【企画】する意義」「マーケティング手法」「アイデアの出し方」の講義。午後からワークショップという流れです。

今回はワークショップのお話し。

当日のスケジュールはこんな感じです。

① 今回、考えてもらう「お題」の発表と概要と発表に関するルールの説明
② お題に沿って個人で考える
③ 3~4人のグループに別れて、グループ内で自分の考えを発表
④ グループ内で意見をまとめる
⑤ 発表に向けて、発表の構成や伝え方を考える
⑥ 発表(1グループ持ち時間3分)
⑦ 動画撮影した発表をみんなで見返す

午前の講義を経て、この①から⑦を午後の4時間で行います。

僕が、このグループワークで新入社員のみなさんに学んでもらいたいと思っていたことは次の3点です。

言葉で相手に伝える・説明すること

・他の人のアイデアを知るということ

・時間内に作り上げることを優先的に


言葉で相手に伝える・説明すること

デザイナーが作ったモノが世に出るとき、見てくれる一人一人にデザインの意図を説明することは不可能です。

なので「デザインは感じるもの=デザイナーは説明しなくて良い」と思っていました。

しかし知り合いのデザイナーが、こんなことを言っていました。

デザインを発注してくれたお客さんには、デザインの意図を言葉で説明できた方が良い。

それは「意図が言葉で説明できる=なんとなくではなく、ちゃんと考えて作っている=お客さんが安心・信用・信頼してくれる」

何かを学んだとき「人に教えることができたら学んだことを理解できている証拠」と言うことがあります。それに近いことだと思います。

会社での会議でも「ちゃんと考えて計画されているか」を知るために、すっとぼけて質問することがあります。

質問の答えが正解か不正解かは僕にはわかりません。

実際に やってみないと正解か不正解か、わからないことばかりですから。

しかし、ちゃんと考えているか、考えていないかは答えを聞いていればわかります。

そこに安心や信用・信頼できるかが生まれます。


・他の人のアイデアを知るということ

いくら考えても出なかった画期的なアイデアが、他の人から出ると「その手があったか!」と思います。

驚きや考えた人への賛辞。それと同時に嫉妬も感じます。

そんなときは、そのアイデア自体ではなく、「発想の思考のやり方」を頭の中の引き出しにいれておきます。いつでも取り出せるようにしておくように準備しておくと、より多彩なアイデアを出せるようになります。

また、自分が出したアイデアと他の人から出たアイデアだと、どうしても自分のアイデアの方が良く思えてしまいます。

たくさんあるアイデアの中で「どれを選択するのか」または「出てきたアイデアのイイとこ取りできるのか」逆に「軸がブレないように、イイとこ取りはしない」などの選択をするときも、雰囲気や流れだけで選択するのではなく、アイデアに対して公平に見ることができるかどうか。学んだことが身になっているかが試されます。


・時間内に作り上げることが優先

子供のころに読んだ「漫画家入門」に、新人漫画家にとって必要な力は「画力」より「話の創作力」より「原稿を描き上げるスピード」と書かれていました。

画は上手くて、話しも面白い、でも締め切りまでに原稿が出来ない人より、画はそこそこ。話の面白さもそこそこ。でも原稿を完成させるのが早い人の方が重宝されると書いてありました。

現代の漫画家入門には、どう書いてあるかはわかりませんが。

どんなに良いアイデアでも期日までに完成させなければ意味がありません。

今回のグループワークは、アイデア出しから完成・発表までの時間が極端に少ない稀な状況です。

もちろん議論を重ねて、より良いモノを選択することは重要です。

しかし、良いものを作ろうとし過ぎて、どれを選択するかに時間が掛かってしまい、締め切りに間に合わなかったら本末転倒です。

アイデア出し、アイデアの選択、制作、装飾をどのような時間配分して行えるか。

「どれが良いのか」を選択するスピードや妥協点も知識があると自信を持って判断できるようになります。


3つの共通点として「知識を得て準備しておくこと」が重要ポイントです。

スピードにおいても、質においても、自分自身の自信においても。

このブログや新人研修が、知識を得ておくことのキッカケになってくれたら幸いです。


さて、今回のブログは、ネット検索や参照資料を見ずに書いています。

つまり「今まで、学んできたことを言葉で説明できている」のではないでしょうか。

と、自分で書いて「ちゃんと考えて書いている」をアピールするというのもテクニックです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました