「育休取れますか?」ではなく、「育休取ります」が当たり前の世の中に。 

2021年の暮れが近付いてきた中、先日突然飛び込んできたヴァージル・アブローの訃報には驚きとショックを受けた人も多いと思います(私も正直、ものすごく驚きました)。

日本のファッションシーンとの繋がりも強く、自身のブランド「OFF-WHITE」の展開以外にも、ルイ・ヴィトンのメンズ・アーティスティック・デザイナーとしてハイクラスブランドにストリートファッションの要素を取り入れたり、IKEAとコラボしたり、幅広く活躍していただけにとても残念です。

改めて心よりご冥福をお祈りいたします。

 

どうも、マルワのシャドーサイドあれこれ担当です。

本日は、限りある人生の中、「子育てや介護のためにちゃんと時間を使えつつ、生活に困らない、そんな社会が持続可能な社会では?」といった感じで、来年(2022年)4月1日より段階的に施行される、「改正育児・介護休業法」について、素人なりにまとめてみた、という小話です。

※以下、当方はあくまでも素人ですので、間違い等ありましたらご指摘いただけますと幸いです。

 


唐突ですが、男性の育児休業取得率がどれくらいかご存知ですか?

厚生労働省の「令和2年度雇用均等基本調査」によると、令和2年度(2020年度)の男性の育児休業取得率は12.65%で前年より約1.7倍増、はじめて10%を超えました(とはいえ、4週間以下の “短期” 育休が多いようですが)。

今から約10年前(2010年度)の男性の育児休業取得率はわずか1.38%だったので、それを思えば、前進してはいますが、まだまだ男性の育児休業取得は浸透してないようです(ちなみに、女性の令和2年度育児休業取得率は前年の83.0%をなぜか若干下回る81.6%)。

※育休取得対象となる労働者のうちで、実際に育休を取得した人の割合

本来なら、育児休業(以下、育休)も介護休業も性別を問わず取得できる労働者の権利なので、育児や介護で仕事を休業することは、「当たり前」のことのはずです。

しかし、「会社に育休制度が整備されていない」「育休を取得しづらい職場の雰囲気」が放置されているのが悲しいかな日本の現実です。特に男性の育休への理解の低さは前述の調査結果からも明らかですね。

そんな状況を少しでも改善するために「改正育児・介護休業法」が成立し、2022年4月以降段階的に施行されていくことになりました(特に今回の改正は男性の育休取得率アップに焦点が当たっているように思われます)。この改正により「父母が希望すれば、仕事と育児を両立するために柔軟に休める環境」がすべての企業に整備されることが期待されています

今回の改正ポイントは、

  • 本人または配偶者の妊娠出産を申し出た労働者に対して、企業は個別に育休取得の意向確認することが義務付けられる
  • 育休を取得する本人や上司等に対して、企業は研修や相談窓口を整備することが義務付けらる(具体的な方法はまだ未定)
  • 出産から8週間のうち、4週間まで男性が育休を取得できるようになる、かつ、4週間の休みを分割して2回取得も可能
  • 今までは育休取得は1か月前までに会社に申請しなければいけなかったのが、2週間前まででよいことになる
  • 労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲内で育休・介護休中であっても就業することができる
  • パートやアルバイトの育休・介護休取得要件が緩和される
  • 常用労働者が1000人を超える企業は育休取得状況を公表することが義務付けられる(2023年4月~の予定)

等です。

 


本人から育休希望の申し出がなくても、本人又は配偶者の妊娠がわかった時点で、個別に制度の説明と取得についての本人の意向を確認すること、さらに、職場の他の従業員にも制度の説明や研修を行うことで、マタハラをはじめとした各種いやがらせ行為や不当な扱いが起きないように会社全体で取り組むこと、つまり、「休みにくい雰囲気」をなくすことが企業の義務とされます。

また、同僚やお客様に迷惑がかかる、自分にしかできない業務がある、等の理由から育休をとれない人もいるため、育休取得中であっても、例えば、「週2日、1日13-16時までの3時間だけは働く」というような取得の仕方も双方合意の元ではOKとする、というような柔軟な対応がとれるようになるようです。 

そして、今回の目玉的な改正が通称「男性産休」とか「出生時育休」と呼ばれる、出産から8週間以内に4週間男性が育休を取得できる、という制度です。

以前の改正で、「パパ休暇」制度として出産から8週間以内に男性が育休を取得し、出産から8週間以内に育休を終えている場合は、子が1歳になるまで※に再度育休を取得できる制度はできていましたが、今回の改正により、出産から8週間以内の育休を分割で取得することも可能になりました(退院前後の2週間、実家から自宅に戻ってくる時期に2週間取得など)。

より柔軟に休めるようになる上に、8週間が経過後に別途育休を取得することも可能なので(子が1歳になるまで※)、だいぶ休みやすくなるのではないかと思います。

※父母ともに育休を取得する場合は1歳2か月になるまで、さらに保育園に預けられない場合は1歳6か月まで取得可能

また、子の看護休暇・介護休暇については、既に2021年1月より、時間単位でも取得が可能になっています。小学校入学前の子または要介護状態の家族について、1人なら年5日、2人以上なら年10日は有給とは別で休暇が取得できます(ただし、有給ではなくてもよい制度のため、無給となる企業も多いです。ご自身の職場の規則をご確認ください)。 

なんとなく、男性が休めるように……という点ばかりが注目されてる今回の改正ですが、根本的な意識として、本人はもちろん、周囲の人たちが、育児や介護のために仕事を休まれたら自分に負担がかかるから迷惑だ!ではなく、その人のシアワセのお手伝いをしているんだ!と思えるかどうか……

SDGsでいうところの「5.ジェンダー平等を実現しよう」や、「11.住み続けられるまちづくりを」あたりにも該当しそうですが、「ちゃんと働けて、必要なときにちゃんと休める」こと、「休むことが継続的に働くことの障害にならない(降格・減給・不本意な部署変更などをしない)」ことは企業の社会的責任でもあります。

2021年の流行語大賞にノミネートされるなど、ある意味「流行っている」SDGsですが、「地球に優しい」「環境に良い」「途上国の問題」ばかりではなく、企業にとって大切な「人材」を持続可能にすることも忘れてはいけませんね!

 


年々時間が過ぎるのが早くなっていると感じますが、子どもの成長もあっという間です!

そしてすべての人の時間は有限です。

貴重な「家族との時間」が蔑ろにされ、子どもが成長した後や、大切な家族を失ってから、ああしておけばよかった…なんて後悔しないようにしたいものですね。

 

そんなこんなと考えている私の脳内では、BritPopの代表格、blurの曲名通りのやさしさが染み渡る大名曲、“Tender”が繰り返し繰り返し、さらに繰り返し、再生されております。

Tenderには、「やさしさ、思いやり」といった意味だけでなく、「虚弱な、壊れやすい」という意味もあります。

どちらも含んでいるけど、“愛情”は何よりも大切なものだと、Damonが包み込むように歌い上げています。

ものすごくキレイゴトな感じがしますが、そんな気持ちを大切にすることが、今の世の中で「人」として生きていくうえで忘れられがちなのかな、と思ったり思わなかったりしているうちに今年もあとわずかとなってしまいました。

少し早いですが、みなさまよいお年を……

 

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