スピンとアンカット

単行本や文庫本についているひも状の栞の名前をご存じでしょうか?

これは業界用語で「スピン」と言います。なぜ「スピン」と言われているのか語源を調べてみましたが、英語で本の背中を指す「スパイン(spine)」が転じたものという説はあるもののはっきりしたことはわかりませんでした。和製英語には間違いないようです。
昔の文庫本には「スピン」があったイメージなのですが、コストダウンのため大手出版社もスピンを続々と廃止し、現在では「スピン」付の文庫本は新潮文庫だけのようです。個人的は「スピン」付きは好きなので、新潮社さんにはこだわり続けていただきたいなあと思っています。
この「スピン」付の文庫本は上部(天)が不揃いな「天アンカット」という製本手法が使われています。

「天アンカット」というのは、本の小口の一方もしくは三方を化粧裁ちしないまま仕上げる製本のことで、
「スピン」を付けるためにこの方法が取り入れられているそうです。
では、「スピン」付きの新潮文庫だけが「天アンカット」かというとそうではなく、岩波文庫、中公文庫、ハヤカワ文庫などでも見られます。三方を切りそろえる並製本のほうがコストダウンではありますが、敢えて手間のかかる「天アンカット」を使用しているところに、出版社さんの思いが反映されているのです。

今回ブログを書くにあたって、家族の本棚から古書店で購入した戦前の文庫本を見つけました。
岩波新書のスピン付きです。

奥付も興味深かったので掲載してみました。
中央に「著者検印」を表す著者のハンコが押された小さな紙が貼りつけられています。

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