はじめての zine 作りガイド part2 〜zine に使う素材の権利を知ろう〜

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どうも、マルワの裏方あれこれ担当です。

以前「はじめてのzine作りガイド」という記事を書きました。

その中の「3. 素材をそろえよう」について、著作権にポイントを絞ってまとめたのが今回の記事になります。zine作りの際の参考にしていただければ幸いです。

 


好きな音楽、漫画、お店、街——自分の「好き」を詰め込んだ zineを作りたい人は多いはず。

けれど、「この写真は使っていいのかな……」「どこまで元作品を掲載していいかわからない……」と悩むことも多く、そうなると創作意欲そのものが萎縮してしまいます。

そうならないために大切なのは、「何がダメで、何ならある程度安心して使えるか」を知っておくことです。

免責事項本記事は法律専門家による見解ではなく、一般的な考え方に基づく参考情報です。内容の正確性を保証するものではなく、個別の状況や法令の改正等により、実際の判断が本記事と異なる場合があります。実際の制作にあたっては、素材提供元の利用規約を確認するか、著作者の許諾を得る、または専門家にご相談いただき、最終的には自己責任でご利用ください本記事の内容を参考にしたことにより生じたいかなるトラブル・損害・損失についても、当方は一切の責任を負いかねます。あらかじめご了承ください。

 


そもそも「著作物」「著作権」とは?

著作物とは、簡単に言うと「人が自分の考えや気持ちを表現した創作物」のことです。小説、漫画、音楽、写真、イラスト、映画、新聞(の記事や写真)、地図など、日常的に触れているものの多くが著作物です。もちろん、あなたが作ったzineも著作物です。

著作権とは、著作者(著作物を作った人)に対して法律が与える「自分の作品をどう使うかを決められる権利」です。著作権には、経済的な利益に関する権利(著作権/財産権)と、作者の名誉や意思を守るための著作者人格権があり、特許のような登録手続きをしなくても、作品が完成した瞬間に自動的に発生します。有償無償、有名無名にかかわらず、目にする画像や文章の多くには、ほぼ必ず誰かの著作権があると考えるのが安全です。

なお、著作権の保護期間は原則として著作者の死後 70 年です(映画の著作物などは別の定めがあります)。この期間を過ぎた作品は「パブリックドメイン」となり、誰でも自由に使えるようになります。

 


他者の著作物を使うときの基本ルール

著作権で保護されている他者の著作物を複製・利用するには、原則として著作権者の許諾(許可)が必要で、無断で使うと著作権侵害になり得ます。

ただし著作権法には、許諾なしに使ってよい例外がいくつかあり、その中でzine 制作に関係しそうなのは「私的使用のための複製」と「引用」です。

① 私的使用のための複製

「個人的に、または家庭内やこれに準ずるごく限られた範囲」での複製利用は、著作権者の許諾なしに認められています。zineを作って家族のみに配布する、という場合はこの例外が適用されます。

ただし、この範囲はかなり狭く解釈されており、友人・サークル仲間 10〜20 人程度への配布であっても、私的使用の範囲を超えると判断される可能性があるといわれています。「無料だから」「少人数だから」何を使っても大丈夫、というわけではありません。

 

② 引用

引用とは、すでに公表されている他者著作物を、単に自分の著作の中に利用(紹介)することではなく、自分の意見や説明をするために、他の人が書いた文章や作った作品の一部を、「これは○○さんの作品です」とはっきりわかるようにして、必要な分だけ使わせてもらうことをいいます。

著作権法32条には「公正な慣行に合致し、引用の目的上正当な範囲内で行われるもの」と定められているのみですが、これまでの裁判例や実務上、おおむね次のような要件を満たしていれば適法な「引用」として認められ、許諾なしに使うことができます。

  • 必然性:その素材でなければ説明できない理由があること
  • 主従関係:自分の著作部分(文章・論評など)が「主」で、他者著作物が「従」であること
  • 明瞭区分性:自分の著作部分と引用部分が誰の目にも明確に区別できること
  • 出典の明示:作者名・作品名・発行元などを明記すること
  • 改変しないこと:トリミングなど必要最小限を超える改変を避けること

なお、引用の要件に「非営利であること」は含まれていません。要件さえ満たせば、有償で販売する zine でも引用は成立します。また、引用要件のなかの「主従関係」は、紙面上の物理的な大きさではなく、「自身の著作部分と他者著作部分のどちらが実質的な中心か」「その著作物を使う必然性が説明できるか」がポイントになります。

 


「フリー素材」の落とし穴

イメージ画像や挿絵として使うことも多い「フリー素材」。「フリー」の素材だから、どんなふうに使ってもいいと思われがちですが、あくまでも提供者(著作者)が定めた利用規約の範囲内でのみ使用が許諾されるものになります。

正規手順で入手していない(透かし入り画像やサンプルの低解像画像などをコピーして使う)場合や、「商用利用禁止(zineでも有償販売する場合は該当し得ます)」「クレジット表記が必要」「合成・色変更などの改変禁止」などの制限が定められている場合に、それを無視して使うと、規約・著作権違反になり得ます。

※本記事のアイキャッチ画像の「maruwa」という薄い文字のように入っているのが「透かし」です。

フリー素材だからといって著作権が放棄されているわけではありません。使う前に必ず利用規約を確認しておきましょう。

 


具体例で見る:こう使ったら著作権侵害になる/ならないの目安

私的使用に該当しない場合で、引用や挿絵などのために他者著作物を利用したい場合の、OK/NGな使い方事例をいくつかまとめてみました。

なお、以下の事例や判断は、あくまでも「そう解釈される可能性がある」という目安にすぎません実際の利用については、提供者(著作者)の規約や許諾に準じ、必要に応じて専門家にご相談のうえ、自己責任でお願いいたします。

 

フリー素材画像

OK例:会員登録して正規手順でダウンロードした「商用利用可」の素材を、規約に沿ってzineの表紙に使い、イベントで販売 → 規約の範囲内であれば問題ありません。

NG例①:会員登録して正規手順でダウンロードした「商用利用禁止」の素材をzineの表紙に使い、イベントで販売 →「商用利用禁止」の条件に反しており、規約違反・著作権侵害になり得ます。

NG例②:フリー素材サイトに掲載されている「商用利用可」の素材の透かし入りサンプル画像をコピーしてzineの表紙に使い、イベントで販売 → 正規手順で入手していないため、規約違反・著作権侵害になり得ます。

 

SNS上の他人の投稿(画像)

OK例:投稿者本人にDM等で連絡し、掲載の許諾を得たうえで、出典(投稿者名・投稿日など)を明記してzineに掲載した → 許諾を得ているため問題になりません。

NG例①:SNSで見かけた他人のイラスト投稿を無断複製し、zineの挿絵として使った → 著作権侵害になり得ます。

NG例②:SNSで見かけた他人の写真を自分で模写してzineの挿絵に使った → 自分で描いたイラストでも、元となった著作物との類似性と依拠性(元作品をまねしようとして作った)が認められる場合は著作権侵害になり得ます。

 

画像検索結果からコピーした画像

原則利用できません。画像検索の一覧に表示された画像をコピーしてzineの挿絵などに使うと、著作権の侵害になり得ます。画像検索の一覧に表示されるサムネイル画像は、私的使用の範囲を超えた利用はできないと考えてください。

 

CDや小説の表紙画像

OK例:所有するCDのジャケットを自身で撮影した画像を紙面に小さく掲載し、その横に自分の考察・感想を中心とした文章を主として記載し、出典(作品名・アーティスト名)を明記した→ 引用要件を満たし得ます。

NG寄り例:公式サイトのジャケット画像を複製して紙面に小さく掲載し、その横に自分の考察・感想を中心とした文章を大きく展開、出典(作品名・出版社名)を明記した→ 引用要件を満たし得ますが、画像の複製利用は画像自体の著作権が別途問題になり得るため、自分で撮影する方が安全です。

NG例:公式サイトのジャケット画像を複製して紙面いっぱいに掲載し、「おすすめです!」という一言だけを添えた→ 主従関係・必然性を欠き、著作権侵害になり得ます。

 

生成AIに特定画像を参照させて生成した画像

OK寄り例:自分で撮影した写真を特定の作風を指定せずに生成AIでイラスト風に変換して掲載した→ 元が自分の著作物であるため、問題になりにくいです(ただし、意図せずとも他者の作品に酷似してしまうと問題になる可能性はあります)。

NG例:特定のイラストレーターの絵柄を指定して生成AIに描かせた画像を、有償販売のzineの表紙に使用した→ 「画風」そのものは著作権では保護されないとされていますが、生成された画像が特定の既存作品と似すぎている場合は著作権侵害になり得ます。

 

漫画の特定のページやコマの複製画像

OK寄り例:特定の一コマの画像を紙面に小さく掲載し、その横に自分の考察・感想を中心とした文章を主として記載し、出典(作品名・作者名)を明記した → 引用要件を満たし得るので問題になりにくいですが、画像として引用する必然性が問題になる場合があります。

NG例①:好きな漫画の一コマの画像を、本文の内容とは関係なく挿絵として掲載した→ 引用要件を満たさず、著作権侵害になり得ます。

NG例②:好きな漫画の一コマのセリフ部分を自分の言葉に書き換えた画像を掲載した→ 無断でセリフを書き換えるなどの改変行為は、引用要件を満たさないだけだなく、同一性保持権や翻案権の侵害にもなり得ます。

 

新聞や雑誌記事

OK例:記事の複製画像を使わずに、記事の要点を自分の言葉でまとめ、必要な一文だけをテキストとして引用、出典(新聞名・掲載日)を明記しつつ、自分の考察・感想を中心にした文章を掲載 → 引用要件を満たし得ます。

OK寄り例:記事の見出しなど一部の画像を紙面に小さく掲載し、その横に自分の考察・感想を中心とした文章を主として記載し、出典(新聞や雑誌名・発行年月日)を明記した → 引用要件を満たし得ますが、画像として引用する必然性が問題になる場合があります。

NG寄り例:本文はぼかして見出しだけ読める画像を掲載したが、自分の分析・意見はほとんど書かれていない → 引用する必然性が説明できず、リスクがあります。

NG例:自分が紹介された記事を1ページまるごとスキャンして、「新聞載りました!」とキャプションだけつけて掲載 → 引用要件を満たしていません。掲載対象が自分であっても著作権は発行元にあるため、著作権侵害になり得ます

 

飲食店・観光地・宿泊施設・美術館などの画像

OK例:自分で許可を得て撮影した料理・店内・外観の写真を、自分の感想とともに掲載した → 基本的には問題になりにくいですが、他のお客さんや店員さんのプライバシーへの配慮(ぼかすなど)が必要です。なお、美術館などで絵画・彫刻等の撮影が許可されている場合でも、その写真をzineに掲載するには、別途作品の著作権者の許諾が必要になることがあるため事前に確認しておきましょう。

NG寄り例:宿泊施設の公式サイトに掲載された外観写真をそのままコピーし、「行ってみたい」とひとこと添えて掲載した → 自分でも撮影できる被写体であるため、他者の写真を使う必然性を説明しづらく、著作権侵害になり得ます。

NG例①:観光地の撮影禁止エリアで撮影した写真をzineに掲載した → 著作権とは別に、施設や観光地の利用規約(撮影・掲載ポリシー)への違反にあたります。

NG例②:二次利用ガイドラインの確認できない観光パンフレットの紙面をコピーしてzineに使用した → 著作権侵害になり得ます。

 

二次元コード(QRコード)

OK例:自分でURLから二次元コードを新しく生成し、公式サイトへの案内として掲載した → 問題になりません(単なる符号化データであり著作物性がないため)。

NG寄り例:公式サイトに掲載されているロゴや装飾がデザインされた二次元コードの画像をそのままコピーして掲載した → 単純なコードのパターン自体には著作権が生じにくいものの、ロゴや装飾が加えられたデザイン部分には著作権が生じている場合があります。コピーせず、自分でURLから新しく生成する方が安全です。

 

小説・歌詞などの一文(一節)の引用(画像・テキストどちらの場合も)

OK寄り例:特定の一文を引用し、自分の考察・感想を中心とした文章を主として、引用部分が明確になるよう区分し、出典(作品名・作者名)を明記した → 引用要件を満たし得ます。ただし、歌詞は権利者団体が削除要請や警告を積極的に行う分野なので注意が必要です。

NG例:「この歌詞が大好き」という紹介文のみを付けて、歌詞全文をテキストとして掲載した → 引用要件を満たさず、著作権侵害になり得ます。

 


  1. 「自分で撮る・自分の言葉で書く」を基本にする:他者著作物に頼るより、自分で撮影した写真や自分の文章を中心に据えるほうが権利関係がシンプル。他者著作物がなくても記事が成立するなら、使わないほうが安全です。
  2. 「主従関係」を意識する:自分の著作部分が主役になっているかを常に確認しましょう。他者著作物を主役にしないことが大原則です。
  3. 販売規模が大きくなるほど慎重に:少人数への無料配布と、イベントでの手売り、委託販売とでは何かあった場合の影響が変わります。また、イベントや委託先の利用規約に反するzineにならないよう事前に確認しておきましょう。

 

好きなものを紹介したいという気持ち、それ自体とても健全な創作活動です。ルールを知ったうえで工夫すれば、萎縮せずに、かつ安心して zine を作ることができます!

ということで、本日はこの辺で。

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