私たちが服を購入する際、ある程度サイズの選択肢があります。
では、身体に障害を持つ方にとってはどうでしょうか。
「麻痺があるのでパンツやスカートの着脱が難しい」
「目が見えないから、どうコーディネートすればいいのかわからない」
など、当事者の立場にならないとわからない苦悩がたくさんあるのです。
中には、車椅子の車輪に巻き込まれてしまうからスカートを穿くことを諦めたという方も。
そんな方たちと向き合うため、2018年に発足した「ひとりのため=ALL FOR ONE」という意味をもつ「041プロジェクト」。既に4年も前になります。
上記のような悩みを障害のある知人から耳にしていたというコピーライターさんが、ユナイテッドアローズさんに話を持ちかけたことで実現したとのこと。
ところで、これまでのファッション業界といえば、デザイン性とコスパばかりを追い求め、大量生産・大量消費が問題視されてきました。
そのあり方を見ていると、選べる選択肢の多い私たちですら幸せを感じにくくなってきていた気がします。
そんなファッション業界が「より快適に、でもデザイン性は損ない」という難しいテーマに向き合うのは、なかなか簡単なことではなかったと思います。
もっと言うと、障害を持つ方一人一人に合わせて洋服を作るということは、オーダーメイドでもあるということ。
「目の前のたった一人」のために、求められるものを丁寧に作る。
これは、大量消費・大量生産の競争の中で忘れかけていた「本来の服屋の原点」を思い出すきっかけになったのかもしれません。
その結果、ファスナーを閉じるとタイトに、開くとフレアになるというスカートが生まれました。
これは、車椅子の移動時にタイトにしておけば、車輪に巻き込まれる心配がないという素敵な仕様になっているそうです。
そして、これがいつしか障害を持つ方以外にも需要が広がっていったとのこと。
誰か一人のためを思う気持ちが、結果的にたくさんの人のためになる。
大切なのは、何かを補うという考え方よりは、その一人一人の個性を活かすという考え方なのかもしれません。
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