どうも、マルワの裏方あれこれ担当です。
今回は「そうだ、イシカワさんに聞いてみよう」の第4弾。
どこの職場や組織にも存在するであろう「ローカルルール(またはハウスルール)=独自ルール」について、イシカワ主任(架空の人物)にいろいろと教えてもらいましょう、という内容です。
Vol.04 そのローカルルール、大丈夫?
【ご注意】本ストーリーは、一般的な情報提供を目的としたフィクションです。登場する企業名・人物名・団体名はすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【免責事項】
- 本記事は、筆者原稿をもとに生成AI(ChatGPT、Claude等)を活用して編集・校閲しました。イラストはAdobe Firefly(Photoshopの画像生成機能)で作成しています。
- 本記事は2026年10月1日時点の公的情報に基づく一般的な情報提供であり、個別事案への法的助言ではありません。実際の取扱いは組織により異なるため、判断に迷う場合は会社の担当者または社会保険労務士などの専門家にご相談ください。本記事の利用により生じた損害について、当社は責任を負いかねます。
- 取り上げた事例は、よく話題になるケースをもとに構成した架空のもので、特定の職場の実例ではありません。
【登場人物】
イシカワ: 法務部主任。仕事に厳しく人に優しい。今回の主人公。
ナカノ: 営業部課長。穏やかな性格で部下の面倒見がよい。
コレクライ: 営業部所属。マジメで仕事熱心なナカノの部下。新人教育を任されている。
日本の某所。××(ばつばつ)株式会社、ある日の夕方……。

ナカノ課長、ネットで「職場の不思議なローカルルール」という記事を読んだんです。「誕生日の人を朝礼で全員で祝う」「上司や先輩も含めて全員ニックネームで呼びあう」といったものに交じって、「これ大丈夫?」というものも書かれていて、ちょっと気になってます。

なるほど。では今回も、イシカワ主任に聞いてみましょうか!
二人はイシカワ主任を訪ねてみた……。
そのローカルルール、ありかなしか?

ローカルルールとは、職場などの特定の場所や集団の中だけで通用する独自のルールのことです。長年の慣習として定着したものもあれば、現場の責任者の判断で決められたもの、過去のトラブルを機に作られたものもあります。多くは就業規則などの正式なルールに明記されておらず、「暗黙の了解」や「不文律」として運用されています。
ローカルルールがあること自体は問題ありませんが、労働基準法などの法令に反するルールであれば、たとえ長年続いているものであっても認められません。「昔からずっとそうしてきた」は理由にならないので注意が必要ですね。
ルール① 飲み会には全員強制参加

勤務時間外の飲み会には全員参加、というルールというか、暗黙の了解が、ローカルルールの代表例として書かれていました。これはどうなんですか?

勤務時間外の飲み会は任意参加が前提で、強制することはできません。事実上強制されている場合で業務の一環といえるなら、労働時間にあたる可能性もあります。「できるだけ参加してほしい」と呼びかけるのは問題ありませんが、参加しない人の評価を下げる、叱る、しつこく誘う、といった対応はパワーハラスメントなどの問題になり得ます。

参加するかどうかは本人の自由。参加しなかった人が気まずくならない配慮が必要ですね。
ルール② 新人は30分前に来る&上司が帰るまで帰れない

「新人は始業30分前に来て、掃除や業務の準備をする」「上司より先に帰ってはいけない」という例もありました。

新人かベテランかに関係なく、勤務時間外に掃除や準備、朝礼参加などが会社から義務づけられていたり、事実上断れなかったりするなら、その時間は労働時間にあたり得ます。「自主的な早出」と呼んでいても、始業時刻ギリギリに来ると怒られる、早く来ないと評価が下がる、といった状況なら、始業時刻や仕事の割り振りを見直すべきですね。
上司が帰るまで残るよう指示されている、または事実上そうせざるを得ないなら、その待っている時間も労働時間にあたり得ます。そこまでいかなくても、「帰りにくい雰囲気」を出さないよう、上司や先輩も配慮したほうがよいですね。
ルール③ 昼休みや休日も、電話に出るのが当たり前

昼休みでも電話対応のために外食NG、休日でも会社からの電話には必ず即対応する、という例もありました。

昼休み(休憩時間)は、労働から完全に離れることが保障された時間で、自由に使えるのが原則なので、休憩中に電話対応を要求するのは間違いです。逆に、電話番のために待機させるなら、その時間は労働時間なので、別に休憩を与える必要があります。

休日の電話対応も、休日全体が労働時間になるのでしょうか?

休日は原則として労働義務のない日です。その休日に電話対応などの労働をした場合、休日全体が自動的に勤務日扱いになるわけではありませんが、実際に電話対応をした時間は労働時間とみなされ得ます。また、当番制などで「すぐ電話に出られる状態」「すぐ出社できる場所」にいることを義務づけられ、自由がほとんどない場合は、待機時間も含めて労働時間と判断されることがあります。
ルール④ 1時間未満は残業ではない

「残業は1時間単位だから、1時間未満の残業はカウントされない」という例もありました。

労働時間は1分単位で把握し、実際に働いた時間分の賃金を支払うのが原則です。毎日の残業時間の端数を切り捨てて賃金を支払わないのは、労働基準法違反になります。
なお、1か月の残業時間の合計に1時間未満の端数が出た場合に、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる処理は認められていますが、これは「1か月の合計」での処理に限られます。

「クレーム対応のための残業は残業として認めない」という例もありましたが、これは仕方ないことですよね?

いいえ。上司や会社の指示で対応した場合はもちろん、はっきりした指示がなくても、会社が黙認していた場合や、業務上どうしても対応せざるを得なかった場合は、労働時間にあたります。残業が申請制の職場で本人が申請していなかったとしても、同じように残業として扱う必要があります。
ルール⑤ 固定残業代制なら何時間働いても残業代は同じ

固定残業代制(毎月あらかじめ一定時間分の残業代を定額で支払う仕組み)だから何時間残業しても残業代は変わらない、という例もありました。

固定残業代制では、想定された時間を超えて働いた分について、差額の支払いが必要です。また、基本給などと固定残業代の部分がはっきり区別され、「何時間分・いくら」なのかが明確になっている必要があります。固定残業代制でも、会社は実際の労働時間を把握し、残業時間の上限を守らなければなりません。
ルール⑥ 欠勤連絡は絶対に電話で

体調不良で欠勤するときは電話で直接上司に話さないとダメ、チャットはNG、という例もありました。最近ではチャットで済ませる人も多いと思うのですが……

欠勤連絡の方法を会社がルールとして決めること自体は問題ありません。就業規則などで電話連絡と決まっているなら、基本的にはそれに従いましょう。ただ、チャットでも上司に内容がきちんと伝わっていれば、連絡としては十分に機能しています。電話ではなかったというだけで「無断欠勤」として扱ったり、評価を下げたりするのは行き過ぎといえるでしょう。

体調が悪いときは電話がつらいこともありますし、認める連絡手段をはっきり決めて周知しておけば、トラブルを防げますね。
ルール⑦ 年休(年次有給休暇)は、会社が拒否できる

ホントにそんなことがあるとは思えないのですが、「自分で代わりを見つけないと年休は認めない」「旅行で年休は認めない」「複数日まとめての年休取得は認めない」なんていう例もありました……

年休は、入社から6か月以上続けて勤務し、全労働日の8割以上出勤したすべての労働者(パートやアルバイトも含みます)に法律上与えられる権利で、利用目的を問わず取得できます。「人が足りない」「忙しい」といった理由だけで、会社が一方的に拒否することはできません。会社には、事業の正常な運営を妨げる場合に限り「時季変更権」(休む日を別の日にずらしてもらう権利)が認められますが、これは年休を拒否する権利ではありません。
なお、退職者が退職日までにまとめて年休を取得することを認めないケースもあるようですが、取得日は退職後にずらせないため、原則として会社は年休取得を拒めず、引継ぎを理由に認めないのは問題になり得ます。

年休を取るのに理由を説明する必要はなく、会社は「誰かが休んでも困らない体制」を整えておく必要がある、ということですね。
ルール⑧ 遅刻やクレームには罰金あり

遅刻した場合や、ミスやクレームを起こした社員に、罰金を科すという例もありました。

労働基準法では、あらかじめ違約金や損害賠償の金額を決めておくことが禁止されています(第16条)。また、給料は全額支払うのが原則で、税金や社会保険料など、法律や労使協定で認められたもの以外を会社が勝手に差し引くことはできません。
遅刻して働かなかった時間分の給料が支払われないのは問題ありません。ただ、会社が懲戒処分として減給する場合は、就業規則に懲戒事由や処分内容の定めがあり、かつ処分に客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。また、1回あたり平均賃金1日分の半額、1回の賃金支払期間における減給総額は賃金総額の10分の1が上限とされています。
ルール⑨ 若手や女性への「いじり」はダメでも、中高年の男性ならOK

「若手社員や女性社員への『いじり』はダメだけど『おじさん社員』なら笑いにしても問題なし」というルール?雰囲気?もあるようですが……

年齢、性別、役職、国籍などを理由に、特定の人をからかってよいという例外はありません。「本人も笑っている」「親しみの表現」という説明だけで問題がなくなるわけでもありません。

すべての冗談が、直ちに法律上のハラスメントになるのでしょうか?

そこは個別の判断です。ただ、職場での立場などの優位性を背景に、業務に必要な範囲を超えて、相手の働く環境を害する言動であれば、パワハラに該当し得ます。上司から部下に限らず、同僚や部下からの言動も含まれます。性的な言動であれば、性別に関係なくセクハラになる場合があります。
ルール⑩ 法律よりも就業規則が優先

ところで、これらのようなローカルルールでも、就業規則に定められているのであれば、すべて従わないとダメですか?

従う必要はありません。就業規則に定めていても、法令に反する部分や、法令の最低基準を下回る部分は無効となり、法令の基準が適用されます。ただし、無効になるのは問題のある部分だけで、就業規則全体が無効になるわけではありません。
まとめ

管理する側も、昔からのルールをただ守らせるのではなく、そのルールの根拠は何か、今の働き方に合っているかを点検しなければいけません。「うちではこれが当たり前」「昔からこうだから」と見過ごす前に、一度立ち止まって次の3点を確認しましょう。
- それは、法令に基づくものか(慣習だけで続けていないか)
- 従業員に、時間・賃金・年休などの面で不利益を強いていないか(暗黙の指示や、断れない雰囲気を含む)
- 人を傷つけたり、尊厳を損なったりする行為が、「いつものこと」として放置されていないか
職場の“当たり前”は、長く続くほど疑問を持ちにくくなります。白か黒かを急いで決めるのではなく、具体的な指示、拘束、記録、賃金、制度の要件を一つずつ確認する。その小さな習慣が、働く人にも会社にも分かりやすいルールづくりにつながるのではないでしょうか。
本日はこの辺で。
【参考】


