SNSなどで有名人の「風呂キャンセル界隈」が話題になっていました。
本来予約などしていないのに「本日の風呂、キャンセルします」とつぶやくだけで共感を集める、独特の文化。
他にも
・外出キャンセル界隈
・朝食キャンセル界隈
などなど、様々なキャンセル界隈があるようです。
かくいう私は朝食&昼食キャンセル界隈で、1日1食がデフォルトになって早3年くらい(^^♪
これらは誰にも迷惑をかけないのに、なぜか胸の奥で「わかる…!」と頷いてしまいますが、実は働き方改革のリアルにも通じる金言ではないでしょうか。
印刷業界は、納期に追われることが宿命でもあります。お客様のキャンペーン開始日や出版スケジュールは動かせず、現場は「待ったなし」。諸事情で校了(「これで印刷してください」というGoがかかった状態)が遅れれば印刷工程がずれ込み、製本・配送といった後の工程の全てが連鎖的に影響します。結果として、現場のスタッフは「今日は何時に帰れるのか」「風呂に入れるのか」といった懸念が、1年に1回くらいは起こっているかもしれません。

「働き方改革」では、残業時間の上限規制や有給取得の義務化が打ち出されています。もちろん、中小企業であるマルワのような印刷会社もこれに対応すべく、改善や工程管理の効率化に取り組んでいます。しかし、そこは人と人、感情や感性も大切なお仕事なので、突発的な原稿遅れや予想外の修正依頼は避けられず、「理想」と「現実」のギャップが依然として大きいのが実情です。
一方で、業界内にも少しずつ変化が生まれています。デジタル検版システムの導入で修正前後の差分の確認にかかる時間を短縮したり、営業がAIツールや共有フォルダなどのツール使って、早めにデータやデザインの授受を調整することで無駄な手待のスケジュールを防いだりと、「仕組み」で労働環境を改善する機運が広がっています。

「風呂キャンセル界隈」という言葉にクスリとしながらも、その裏にある“ギリギリで働く現実”があることも避けて通れません。働き方改革のゴールは、単なる労働時間の削減ではなく、みんなが安心して働き、生活の質を高められる環境づくり。印刷というクリエイティブで責任の重い仕事を持続可能にするために、現場と経営が一体となった取り組みが必要と。

――「風呂に入る余裕がある日常」を、印刷業界から実現していきたいものです。
ただのネタじゃなくて、私たちの心のセルフケアであり、次の時代の働き方を考えるヒントになれば良いです。
※くれぐれも、マルワの日常が「風呂に入る余裕がない」ほど疲弊しているわけではありませんので、あくまでユーモアとして捉えていただけますと幸いです。