今やインターネットでやり取りする定番のファイルといえばPDFですね。会社での資料もPDFとして保管すれば閲覧もしやすくなり、ペーパーレス化を進めるためにもなくてはならないものになってくることでしょう。
オフセット印刷の現場でもPDFファイルでの印刷が主流になってきています。ただし、PDFファイルではあれば何でも良いというわけではなく、印刷用のPDFファイルはPDF/X-1aやPDF/X-4形式でなければトラブルの原因となってしまいます。
印刷会社で制作し、書き出したPDFファイルは問題ありませんが、お客様自身がワードや一太郎等で作成し、有料もしくは無料の変換ソフトで作成されたPDFファイルは、PDF/X-1aやPDF/X-4形式でない場合も多いため、トラブルが起きるデータの場合もあります。その場合は再度変換し直すことで正しい印刷物をお客様にお届けすることが出来ます。
ですが、どうしても印刷出来ないデータはあります。
最近あった事例を再現してみました。
下のようなPDFデータが入稿されました。(実際は黄色枠の外にはデザインされた絵柄があります)
黄色枠の外に塗り足し分を作成するために、別のソフトに配置すると、
なんと、文字が消えてしまいました。
原因を確かめるために再度PDFをあれこれ探ると、枠内の文字はAcrobatの「注釈機能」で作成されていました。
「注釈機能」はPDF上の文字を囲んだり、マーカーをつけたり、コメントを書き込んだりできる便利な機能ですが、PDFの文書本体と注釈は独立したものとして扱われます。
印刷可能なPDFは本体のみですので、注釈部分は消えてしまうということです。上のデータでは黄色枠部分が本体だったので消えることはありませんでした。
仮に個人情報を注釈機能で隠したPDFデータを作成してしまうと、印刷後には隠した部分が現れてしまうという怖いことが起きてしまいます。
「でもプリンターではプリントできるのに」と思われるでしょうが、これは下のようにPDFの印刷メニューの「注釈とフォーム」で「文書と注釈」が選択されていることで、画面表示されている内容がプリントアウトできるからです。
データの変更は元のファイルを修正するのが一番です。注釈機能での変更はくれぐれもご注意ください。
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