出張先で食事をしたのち、ふらっとクールダウンで1人立ち寄る事があります。昨日寄ったこのお店、カウンターを取り囲むように数々のウイスキーやバーボンが並んでいました。
カウンターは十席程度と別に小さなテーブルが二つ、店内は耳障りでないジャズが静かに流れています。長く駒込を常宿としていますが、今まで気がつきませんでした。お店を出して二十年以上たつと言いますから、地元を中心とした常連客に支持されていると思います。
モノの価値そしてサービスが全て価格競争になっています。安ければ消費者がなびくような…そんな風潮が圧倒的な支持を得ています。またサービスも回転寿司じゃないですが、タッチパネルで人を介さず効率化を図る事でコストをぎりぎりまで削減、安くておいしいものをお客さに提供…なんて報道されています。
確かにそれはそれでビジネスモデルのひとつだと思います。しかしこうした競争は結局物の価値を否定した競争です。というのは価値を高める金額設定はそもそもそこに気なく、効率化を図るために使う仕掛けや道具に金額がつくからです。
提供者側が勝手に思っているこうしたサービスは価値ある値を付けてもらえません。一方こだわりはその価値をわかる人が少数なだけに理解できた人にとっては値段の高い安いではなく、その価値を利用したい、身を置きたい事が大きな選択の理由です。
マスターにお酒を選んでもらい、手作りの大きな氷が浮かんだグラスを眺めながらゆっくりと口に運ぶ・・・追われている時間が「時の流れ」という表現に変わるぐらいのんびりとした自分だけの時間となります。この時に支払うお金の価値は実はウイスキーではなく、そこに身を置く時間に対して払っています。
都心には当たり前に目にするこうした空間、東京の人ならわかるでしょうが、都心から離れた駒込にあるのがまた惹かれる理由です。また出張の折にはぜひ立ち寄りたいお店です。なぜ…会計を済ませて外へ出るとマスターが外まで出て見送ってくれるのです。こうした小さな気遣いがファンを増やしているのだと…。
価格競争から脱する基本中の基本をこのお店に見たような気がします。最終的にビジネスは「フェース ツゥー フェース」ですから…。
Bar Slow-Hand
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