業績のいい間に次の手を打つ
これはどんなビジネス書にも書かれている。しかし実際にはなかなか次の手を打つ経営者は稀だと思う。理由は調子のいい間はその仕事に追われてしまうからだ。
「日本で一番大切にしたい会社」としてよく取り上げられる会社に「かんてんぱぱ」でお馴染の伊那食品工業がある。ご存知の方も多いと思うが、ここは創業以来ずーっと売り上げを上げている。興味深いのは売り上げの前年比数%アップが基本。それ以上になった年には「悲しい出来事」として朝礼で塚越会長が話をしたのは有名だ。
■業績が悪くなった事を想定すると分かりやすい
なぜ急な業績アップを嫌がるのか。その商品・サービスに経営的な体力が奪われるからだ。仮に今まで稼ぎを支えていた商品があったとしよう。その商品の需要が減少したとすると、この商品やサービスに依存するほど売り上げは下がる一方になる。
お客様からの指名がそれ以外の商品にないとすると、差別化は価格ばかりに目が行くことになる。当然、人のモチベーションも下がり、新しいサービスや商材を考える余裕がなくなる負のスパイラルに陥るというわけ。
先の伊那食品工業さんは常に商品開発を怠らないそうだ。我々が目にする以上の商品開発をしているので、中には失敗するものもたくさんあるとか。しかし、それを繰り返している事で、主力商品の売り上げがある程度下がっても新たな商品として開発したものを出せるというわけ。
聞いてみれば当たり前かもしれない。しかし、この当たり前を実践している会社は意外に少ない。特にオーダーメード型の印刷会社はお客様の想いを形にしているので、お客様自身が紙媒体に形にできてしまえば印刷会社は用済みというわけ。
弊社の場合、現実を見ると「調子がいい時がなかなかない」のが実情。と言っていてはいつまでたっても次の手が打てないから、あえて今次なる行動と開発をするべきと改めて思っている。
人は現状維持が最も安心するものだ。しかし止まってしまったら衰退がはじまるのもこれまた真理。貧乏性の僕は引退する時まで走り続けるだろうな。
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