松江市の教育委員会が「はだしのゲン」の閲覧制限をしたことが、大きな問題となっています。「はだしのゲン」は故中沢啓治氏による自身の原爆の被爆体験を元にした漫画。戦中戦後の激動の時代を必死に生き抜こうとする主人公中岡ゲンの姿が描かれています。
この描写が子供に影響を与えるとして閲覧制限をしたのが教育委員会の見解、ただし校長先生の許可が得られれば閲覧できるとか。だから問題ないというのが教育委員会の言い分です。
早速市役所には一時間半にわたる抗議電話が殺到したらしいですが、中には賛同の電話もあったとか。正直なところここまで気を使うべきものなのかと首をひねってしまいました。
戦争や原爆の恐ろしさを後世に伝えるために描かれているこの漫画、作者は亡くなっていますが、生前中にこうした話題が持ち上がったらどう反論したでしょうか。
平和教材として世界中で読まれているこの作品、描写という部分だけを取り上げて閲覧禁止としたら、それはこの作品の本当の使命を理解していないのではないか…そう感じています。
「表現の自由」という言葉があります。昨今SNSの発達では思いもよらない投稿によって大きな問題となっています。コンビニの冷凍庫に入ったり、バーガーのパンの上に寝転がって写真を撮ったり・・・。こうした非常識な表現は断じて厳しく対応すべきです。
しかしながら、戦後長く読み継がれてきたこの作品を読んだ子供たちから、教育委員会が危惧するようなことがかつてあったのかなと…。当然ないと思います。
私もかつて小学校の教師をしていたころに、原爆の教材を扱ったことがあります。子供たちはきちっと作品の意図を理解していました。時代が変わっても、これは同じだと思います。
正しいことを導き教えるこれが大人の役割です。だからこそ行き過ぎた制限は如何なものか…率直に思いました。情報発信に関わるものとして、この線引きはきちっと自分の中で守りたい、そしてその姿勢を示していくことが我々の務めだと思います。
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