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亡くなってしまったか


東京電力福島第1原発事故の収束作業を現場で陣頭指揮した吉田昌郎元所長が食道がんで亡くなりました。あの危機的原発事故の現場のトップであり所長。会社の命に背いて注水を続け、その報告を怠って政府や国会を混乱させた責任を問われ物議を交わしました。
結局、あの場面で会社の判断に従って注水を止めていたら、原発の状況はさらに悪化していた可能性も示唆されています。原子炉の状況を判断できる材料は非常に限られ、対応は一刻を争っていた状況。
原発の所長に就任した当時は今回の事故が起こるとはおよそ想定していなかったと思います。大企業の役員とはいえ、背負っているものは我々の中小企業のオーナー経営者の方が大きいと毒づいていた私ですが、この件だけは清水さんには及びません。
原発事故が及ぼす計り知れない影響を察知し、取り返しがつかないと判断した当時の注水は人生の中での究極の判断だったと思います。そして大袈裟に言えば日本を、世界を背負っていたとも思います。
全く面識もありませんが、当日の東電の社長や役員の方とのやり取りをビデオ映像で見ていても、気骨のある方だと感じますし記憶に残る方でした。切羽詰まった時に、どれだけ体を張ったか…それがその人の評価なんだと思います。
会社の命令に反対だったとしても、注水継続はいわゆる緊急避難と考えていいのではないか。いまだに議論がされますが、最善を尽くした吉田さんの行動力は見習う事が多いなと感じています。
まさかの時の対応・・・・彼は究極の「まさか」を体験し指示を出しました。人生最後に体験した究極の選択と指示、そんな状況での陣頭指揮をとれたのは吉田さんだからだとも言われています。
「一度は死を覚悟した」と当時語っていましたが、いよいよこの世を去る時にご本人はこの人生をどう振り返ったのでしょうか。一度は会ってみたいと思った人ですが「亡くなってしまったか」と面識もないのに残念な気持ちになった人でした。安らかにお眠り下さい。合掌。


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