私がメディア・ユニバーサルデザイン(MUD)協会の理事ということもあり、毎年デザインコンペに参加しています。ここ数年間の取り組みということもあり、デザイン的な要素を犠牲にすることなく作品も作成できると自負をしています。
ところが全く賞に入ることができません。賞にかすりもしないのです。その理由は・・・「ユニバーサル」の根本を考えて作品が増えてきたからです。
当初のデザインコンペは、ポスターやチラシ、パンフレットといった印刷に近い要素が多かったのですが、近年は使い勝手まで配慮されたものが多数出展されています。つまり今使っているものを「見やすい」という観点だけでは賞を獲得していく事は難しい状況です。
ある企業ではこのコンペに対して全社員で知恵を出し合っていると言います。またMUD協会のある理事さんは学生への授業の中で「テクニックに走るな」と伝えているそうです。
「情報のバリアフリー」と言われているメディア・ユニバーサルデザイン、情報という切り口だけではなく、使うという行為すべてを包括して考えていかなければならなくなってきたのだと思います。
当初はグラフィックデザインが数多く受賞していましたが、「使う」という要素を外していけないという考えにシフト。デザインコンペを過去6回実施してきた積み重ねが背景にあるのだと思います。
これが本来の姿だと感じています。日々の活動の中で「便利だな」「あったらいいな」という視点で考えていく事が、本当に役に立つ者を創り出す原動力だと。そして制作する人にとってもスキルを高めていくと感じています。
土曜日はそんな視点ではワイワイと社員全員でブレストをしました。今更なんですが、こうした作品を社員全員で考えた事がなかった当社。社員全員がMUDに取り組む姿ができて初めて本物の活動になってくると感じています。
テクニックはあくまでハード、MUDはソフトですから心で、そして気持ちで伝わることが大切。社員全員の意見でトライするコンペ。今から楽しみです。そして…これが中小企業の強みだと思っています。
コメント