瀬戸内寂聴さん、御年90才。51才で出家をして作家としてまた僧侶としていまだに活躍中です。そんな瀬戸内さんのお話を聞く機会がありました。東京国際ブックフェアの基調講演です。
瀬戸内さん世代では原稿書きは勿論手書き、そして編集者と作家は一心同体だったと言います。電子化に限らずファックスなどの登場はそうしたいい深い関係を疎遠なものにしてしまったといいます。
であれば、いま旬である電子書籍はどうかという、とはっきりと「電子BOOK の時代がくる」と言い切っています。電子Book の登場で絶版になった小説が復活もするのだと。そして何よりも文字を大きくできるからこれからの時代は若者の扱うものではなく、年寄りが重宝するものだと。
とても90才とは思えない頭の柔らかさ、そしてオーラでした。時代が変わっていくのだから自分が変わるのは当然だと、また変われなく過去の実績にしがみついているのは年齢に関係なく時代に置いてかれるというのが、終始彼女が語っていたことです。
現実に彼女の書いた小説は何巻か電子書籍として販売されているそうです。時代にそくした生き方のメッセージは年齢だけに重みを感じます。
本には命があると言います。「売れない良いものこそ電子Book で」なんて発想は我々世代でもなかなか言えません。彼女のメッセージを聞いていよいよ電子書籍の時代が本格的に到来したように思います。だって一線で活躍する作家の方が言うのですから。
自分が変わらないのは遅れているからと言われてしまうと、過去の経験則にしがみつけないなと感じます。
質問者が謙遜気味に「私は凡人」と発した言葉にすかさず「あなた!自分で凡人なんて言っちゃダメよ」と。とかく謙遜気味に言いがちな言葉もマイナスの言い回しにはっきりとダメ出しをする寂聴さん、年よりもずっと色つやがよく力強さを感じました。
とかく過去の経験にこだわり先の不透明感を怯えてしまう自分ですが、母親以上に年配の方の言葉は重みと勇気を与えてくれます。「世の中は変わる」その一言が当たり前でありながらついついしがみついている自分に気づいた一瞬でした。
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