先日、父親の会社を継ぐために退社した社員が訪ねてきました。一年間の修行を終えて名古屋に戻ってきた彼。当社では印刷を担当していました。口数が少なく積極的に会話をするタイプではなかったのですが、相手の目をしっかりと見て会話が途切れることもありませんでした。
実はとてもシャイだった彼ですが、実家は今までしていた仕事と真逆のサービス業。お客様も企業だけでなく個人も相手にしているといいます。一年間親会社に修行していた彼が大きく成長した事に驚きました。
現場経験が長かっただけに、営業を経験しあらためて自身が「井の中の蛙」だったと感じたそうです。そして自身の甘さを実感するとともに、「社長、マルワもまだまだ甘いと」彼の口から聞くこととなりました。そして極めつけは「やっぱり営業はすごい…」と。
いやはや所変われば意識も変わるというのはこの事でしょうか。決して父親の会社を継ぐことは本意ではないと思いますが、そこはやはり後継者としての覚悟も感じます。オーナー経営の多くのDNAは結局息子にしかつなげないのかな…とふと感じた次第です。
私が今の会社に戻ってきたのは31歳になった年。彼は現在33歳、戻ってきた年齢もほとんど変わりません。「修業をしたといっても全く何もわからない」と彼は言います。それは私がこの会社に来た時の気持ちと全く同じですし、当時の私も20歳の社員の下で2年間働きました。
2年後に営業に出ても全く行くところがなかった事を覚えています。あれから数年後、売り上げがトップになった時点でようやく認めてもらったことをふと思い出しました。その間には信頼していた社員に辞められたり、裏切られたりの繰り返しで…。
久々に顔を見せた同じ境遇の後継者である彼と話をしながら、そんな昔の事を思い出しました。不安を抱えながら父親の会社に入社する彼、これから長く経営哲学を学ぶこととなるのだと感じます。
社長と社員の関係から、同じ後継社長になった彼、おそらく多くの苦労をすることとなります。しかし一方で私の気持ちも理解できるようになったというだけで妙にうれしい瞬間でした。頑張れ後継者・・・次世代を担うためにもこれからの活躍を強く願うばかりです。
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