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袖すりあうも多少の縁

当社の朝礼は週番が毎日話をすることになっています。先日、担当の週番が地下鉄通勤での高校生の様子を話してくれました。週番である彼は公共交通機関で通勤をするようになり早二年、その間に地下鉄で乗り合わせる野球部と思われる高校生の成長を聞かせてくれました。
一年生であった当時は地下鉄で先輩を見かけると真っ先に挨拶に行き、先輩の荷物を持っていたそうです。そんな彼も今春三年生。今では後輩から頭を下げられる立場となり、加えて彼女もできて一緒に歩く姿を見かけるようになったとか。成長話を聞いてなんともほのぼのとした気持ちになりました。
東京などの大都会と違い、名古屋ではまだまだ車通勤が主流です。私も公共交通機関を利用した経験は教職時代の1年ほどとごくわずか。したがってこの社員のような経験はありません。しかしこういった話を聞くとちょっとうらやましく感じます。
話を聞いた後、たまたま地下鉄に乗ることがありました。周りの人の表情を見ながらそれぞれにそれなりの人生があるのだと感じます。いま上映中のシャーロックホームズを本で読むと、ホームズが靴の音や服の汚れでその人の生活背景を推理していく記述がありますが、ちょっとしたそんな気分に浸らせてもらいました。
同じ時間に乗車する通勤、通学客。合わせる顔も同じ。そこにはきっと不思議な一体感が生まれているのでしょうね。いつも乗ってきた人が突然いなくなってふと気になってしまう、そんな経験を聞くとその気持ちが理解できます。
「人間ウオッチング」と言う言葉があります。この言葉、どことなくマイナスのイメージがありますが、実はとても大切な観察力だと思います。そして都会ではなにかと殺伐とした人間関係になりがちですが、こうした関心を持つ社員の一寸した温かさを感じます。
袖すりあうも多少の縁・・・こんな言葉を思い出しました。まもなく新年度、新たな出会いがまた始まります。


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