節分と言えば最近は「恵方巻き」が定番となってきました。その年の恵方の方角に向かって、「切らずに無言でお祈りしながら少しずつ食べる」と言うのが正しい食べ方とか。
切らないのは「縁を切らないように」ということだそうです。ちなみに今年の恵方は北北西と言います。この風習、諸説ありますが、古くは豊臣秀吉の時代まで遡るといいますから、かなり歴史のある風習です。
私がこの恵方巻きを最初に知ったのは、今から30年近く前になります。当時勤めていた学校の飲み会で、上司が紹介したことで知りました。しかしその当時は???という程度の認識、言葉は悪いですが、寿司屋さんの作り話・・・くらいに思っていました。それぐらい認知されていなかった恵方巻き。
実際はその当時、関西を中心にコンビニがキャンペーンを打って全国展開を図っていたといいます。それでも2000年に60%程度の認知率、ここ数年で世間的に知られるようになってきましたから、販促活動を始めて30年近くかかってようやく認知されたという事になります。
こうして長くかけて認知されてきた商品は息の長いものとなると思います。特に食にまつわるもの、健康や福を呼び込むともなれば、うまく人の心理を利用しているなと思います。
最近のネットやソーシャルメディアの発達は、こうした告知を速くしかも広く認知できるようになってきました。しかし一方で、パット火が付き一瞬でブームが去ってしまう状況も数多くあります。表面上だけの認知に終わってしまうからではないでしょうか。
即効性のある発信は結果を速く出せますが、一方で長続きはしません。恵方巻きのように長い時間熟成をしてきた販促活動の変遷に実は本当のマーケティングのヒントが隠れているように感じます。
その一つが様々なアレンジが可能なこと。新たな商品開発がたびたび行われているそうです。近年は本来の太巻きだけではなく「海鮮巻き」「ハーフサイズ」といった食材や大きさの多種類化、また「阪神タイガースバージョン 虎十巻」のような公認グッズも飛び出しています。
もし恵方巻きが昔のままの形にこだわったいたとしたら、ここまでの普及はなかったと思います。コンビニの役割も大きく、時代に即して変化をたどり消費者に支持されていく様子は、我々自身の商品、サービスにきっと参考になると改めて気づきます。
コンビニの定番商品となった恵方巻き、今日あたりは食べてみようか…普段あまり昼食にお米を口にしない私でさえそう思うのですから、長年かけて作ってきた販促活動は大成功ですね。
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