名古屋市の市長といえばご存知河村たかし氏。市民税減税10%を打ち出して市長に当選、議会が通らないとなると辞任をし、議会をリコールし再度市長選と市議選を行い再度当選し減税10%の公約にひた走っていました。
このたび減税5%まで譲歩しようやく議会の信任を取り付けそうです。これで減税という公約はとりあえず果たす道筋が見えたという事でしょうか。
ところでこの10%から5%への減税率の下げ幅を少なくしたこと…この効果は実は住民の2割程度という試算もあります。減税こそ市民革命の起爆剤と日ごろから言っていますが、現実は果たしてそうなのかなと感じます。
こだわりは大切です。特に政治に携わる人はこのこだわりが文字通り「政治信条」です。しかしこのこだわりが一方で枝葉末節の議論になってしまっては何にもならないと思います。
小さな会社の経営者として気を付けていることが一つあります。オーナー経営者が独断専行をすることです。大企業と違いオーナー経営者は社員に指示を出すことがほとんどです。大企業のように社員から稟議が上がることはごくまれだと聞いています。
それだけに自らの考えを通すために多くの意見をまずは聞く姿勢が必要だと言い聞かせています。もちろんそうはいっても結果は独断専行ですが…。しかしそれは中小企業のオーナー経営者だから許されるのです。なぜ…社員の生活を一身に背負うからです。
しかし一方で社員の意見を聞きながら摺り寄せはします。あえて時間をかけることもあります。
今回のやり取りを一市民として見ていると、結局政治というものは時間と手間がかかるものだという事を実感します。市長の公約とそれをチェックしていく議会とのやり取り、まどろっこしいですが、これが本来の政治の姿なのではないかなというのが私の持った感想でした。
ある政治評論家は「民主主義は手間暇がかかる」といっていました。とかく独裁といわれる政治手法で批判が多かった河村市長ですが、%を譲っても、とりあえず「減税を実施した」という結果を残したかったという事だと思うのは私だけでしょうか。
10%から5%に半減してもでも減税という成果にこだわって本当に市民のためになるのか。今の経済状況を考えた場合、無駄削減といいながら市民サービスが低下するとしたら本末転倒ではないか…と感じます。
政治家の考えや公約を「こだわり」と片付けては乱暴とおしかりを受けそうですが、あえて自分に置き換えたときには「こだわり」が先行している時がないか…と思った次第です。自戒を込めて…。
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