福島県大波地区のお米がとうとう出荷停止という処置になりました。官房長官は「大きく広がる話ではなく、特殊なケース。風評被害につながらないようにしなければいけない」と語り、関係地区が山に囲まれた地形で、他の福島県産米とは生育環境が違うことを強調しました。
自然の地形に対して特殊なケースという表現は如何なんだろうと感じます。風評被害につながらないようにというコメントも理解できません。これってもう実害の何物でもないと思います。
3.11という未曽有の災害を境に信じていたものが次々と覆されています。原子力は安全という事も実は根拠のないことだという事も。机上で根拠となる想定震度をそもそも今回は上回っていたのですから。
「絶対」という言葉はないと感じた今回の震災。ただ通常はやり直しがきくのですが、今回はそのやり直しがききません。真面目に一生懸命にお米を育てた農家の方にとって丹精込めて作ったお米が市場に出ないというのは何ともやり切れません。
特に「制限」という言葉が引っ掛かります。これって停止の事ではないでしょうか。いたずらに動揺させたくないという思いで言葉を選んでいますが、かえってこの事が疑心暗鬼にさせている…というのがこのところの国民の気持ちだと思います。
我々のような中小企業の経営者でさえ大切なのはメッセージです。社員を一つにまとめていく強いメッセージを如何に発していくかが大切な経営者としてのスキルだと思います。言葉を選んで話をすることはとても大切ですが、「万人受け」する言葉であったとしたら、かえってあいまいな表現になってしまいます。
中小企業と一国のメッセージを同等に扱ってはいけませんが、どうもこのところの政治を見ていると「出来がいい人」という感じがしてなりません。「泥臭い」「汗臭い」表現に問題がありますが、そんな感じの人がいないな思います。
今回の大波地区の汚染の発覚、実は自主検査だといいます。行政がお墨付きを出してなお、自ら検査しての今回の結果。きちんとした対応の為に行った行為が、汗水たらして作ったお米を食べてもらえない…こんな悲しいことはありません。
一方で既に出回っているお米は大丈夫なのでしょうか。疑心暗鬼…政府の発表にいよいよこの言葉が現実味を帯びてしまいます。
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