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慣れの怖さ

全日空機の背面飛行が大きな報道となっています。新型旅客機ボーイング787の一号機導入という明るいニュースにに水を差す結果なってしまいました。この背面飛行、副操縦士が違うスイッチを入れた事によるものだそうです。確かに形状は似ていますが、大きさも場所も異なるスイッチを間違ってしまうとは何ともお粗末な結果だと思いませんか。

ところでなぜそんな事が起こるのか…。要は見ていなかったのが原因だそうです。いつも使っているスイッチ類、そこにはここにあるだろう…という慣れがあります。昨今航空各社は飛行整備などの効率化を考えて機種を絞る傾向にあります。つまりどの飛行機に乗っても計器類が同じという状況になります。

電車の運転手が出発前や走行中に声を出しながら信号機の確認をする姿を見かけます。あれは慣れから身を守るひとつの動作。その様子を見ていると何とも間抜けな感じがしますが、自分の出した声を自分で聞き、動作に移していく…これはこれで人の行動の理屈にかなっているそうです。

50kの体重の人が130kになってしまう今回の旋回。スペースシャトルの打ち上げにも匹敵する重力が関わった旋回ですが、実はあまりそれを感じた人はいなかったとか。逆さまになった事もありますが、夜の飛行で外の景色が見えずそのおかげで気づかなかったといいます。

こういう事を聞くと案外人の感覚というのはいい加減なものだと思います。視覚や聴覚で自分の感覚が左右されるというのは「病は気から」という諺にあるとおり「気」というものが本当に大切なのだと思います。

会社更生法となったJALとは対極的に一人勝ちのANA。ずっとJALの後塵を排していただけにようやく日本の航空業界のトップにたった筈が今回の事態。目標達成のとたんフッと気が抜けるような今回の様子は我々中小企業経営者としても注意しなくてはいけません。

コクピットに勝手に入られない為のスイッチを間違えた今回の事態、機長の身を守るための仕組みが人のミスによって乗客全員を危険にさらしてしまうという皮肉な結果です。要はどんなに優れた機械であっても、人の手がかかる部分は結局完璧という言葉がないという事を証明してしまいました。

それにしても戦闘機でさえ機体の立て直しが困難だと言われた今回の背面飛行。奇跡かせ重なったという事で、もう一度やれって言われてもできないそうです。遊園地の絶叫マシーンのように「ヒヤッ」とする感覚がなく、大変な事態を知らずに乗っていた乗客。後でこの事を知った…この絵こそ怖いことだと思いませんか…。


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