メモは役に立つか ── 「書く」ことと「聞く」ことのあいだで

こんにちは。オンデマンド機担当のOです。

4月入社の新社会人の方はそろそろ半年が経つ頃ですが、いかがお過ごしでしょうか?
皆さんが会社に入って一度は聞いたことがあるであろう「メモを取りなさい!」という上司・先輩方からのお言葉。

それ、本当に自分のためになっていますか?というお話です。

メモに必死になって、話を聞き逃す

会議や講演で、一生懸命メモを取ったのに、あとから読み返しても何の話だったか思い出せない。そんな経験はないでしょうか。

書くことに意識を奪われて、話者の表情や間、声のトーンといった、言葉になっていない部分を取りこぼしてしまう。これは、メモを取る人なら誰でも一度は通る道だと思います。

もうひとつよくあるのが、頭の中ではイメージとして理解していたものを、無理に文章にしてズレてしまうことです。たとえば「全体の流れが、こう波打つような感じ」と感じ取ったのに、メモには「まず導入、次に展開」としか書けていない。読み返した時には、最初に感じたニュアンスはもう戻ってきません。

それでも、メモには役割がある

では、メモは役に立たないのか。私はそうは思いません。ただ、メモには「記録」と「思考」という別々の役割が混ざっていて、そこがトラブルのもとだと考えています。

  • 記録としてのメモ:誰が何を言ったか、決まった日付や数字を残す
  • 思考としてのメモ:自分がどう受け取ったか、何が引っかかったかを整理する

聞き逃しの原因の多くは、記録の役割まで人間が手書きで背負っていることにあります。一方、イメージのズレは、思考の役割を「聞きながら」やろうとしていることから起きます。役割を分ければ、メモはずっと使いやすくなります。

手書き以外の選択肢

今は、記録の役割を手放しやすい時代です。

1. 録音+AIによる文字起こし・要約
記録は機械に任せて、自分は聞くことに集中する方法です。ただし、録音は相手の許可を取るのが前提です。また、AIの要約を読んだだけで「わかった気」になりやすいので、要約は「あとで確認するための地図」と位置づけるのがおすすめです。

2. 図やスケッチ、マインドマップ
イメージで捉えたものは、無理に文章にせず、簡単な図や矢印で残します。上手である必要はありません。「この2つは対立している」「ここから枝分かれする」といった関係性は、文章より図のほうがズレにくいものです。

3. 写真やスクリーンショット
ホワイトボードやスライドは、書き写さずに撮ってしまいます。その分、耳と頭を話に使えます。

4. 聞き終わった直後の「振り返りメモ」
聞き終わったらすぐに、「一番大事だと思ったこと」と「自分はどう感じたか」を数行だけ書きます。

5. キーワードだけのメモ
個人的に、いちばん効果が大きいと感じている方法です。文章にしようとするからズレるのであって、気になった単語を数個、書き留めるだけにすれば、手が止まる時間が最小限で済みます。話者の顔を見て、声を聞く余裕が残るのが大きな利点です。

あとで読み返した時、キーワードは文章のように「意味を固定」しないので、聞いた時の記憶やイメージを呼び起こす入口になってくれます。完全な記録ではなく、思い出すための「引っかかり」で十分。そう割り切ることで、メモが聞くことの邪魔をしなくなります。

結論:メモの目的を決めてから書く

手書きのメモが古くなったわけではありません。ただ、「全部を書き留める」という使い方は、録音やAIがある今、人間がやるべき仕事ではなくなってきています。

記録は道具に任せる。人間は、聞くこと、感じること、そして自分の言葉で考えることに集中する。メモは、その「考える」ための補助として使う。そう割り切ると、メモに振り回されることが減るのではないでしょうか。

あなたは「何のために」メモを取っていますか?
この問いに答えられると、自分に合ったメモの形が見えてくると思います。

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