当社の社員に「どんな営業や売り込みの話なら聞くか」と質問したら返ってきた言葉は二つ。「当社の視点に立って提案してくれること」もう一つは「我々応対した人に対する誠意を感じること」だそうです。
マーケティングは「何を」「誰に」「どうやって」という順序が基本だといいます。ところが多くは「どうやって」「誰に」が最初に来たりすることが多いのが現実。先の前者の場合、如何に順序が逆の場合が多いかがわかります。
「自社のことを考えてくれる」というのは、「自分が消費者だったら」と逆の立場を想定することは今更言うまでもありません。いくら「素晴らしい」ものであったとしても、いらない人にとっては確かにいらないのですから。
しかし人の気持ちはどうしても「売る」にシフトしがちですので、「どうやって」というテクニックが優先することが多く、セミナーも「売れる○○」や「儲かる□□」といった目先の内容のものに人が集まるのは当然のことかもしれません。
一方、重要なのは後者の「応対した人に対する誠意」。無意識に訪問先の社員の上下関係を図って勝手にランク付けしてしまう態度です。営業の基本は「決定権」のあるキーマンを掴むことですが、だからといって応対している人を蔑ろにしていいものではありません。
ご存知のとおり「キーマン」は立場だけではありません。役席者ではないもののその仕事の事情を熟知していることで社内での影響力が大きい場合や、また役席者の秘書的な役割の人などは全て大切にすべきキーマンです。
こうしたちょっとした態度が応対者に悟られてしまっては交渉の土俵にすら上がれません。営業は人と人との出会いでありコミュニケーションのやり取り。相手への勝手なランク付けはせっかくの努力を台無しにしてしまいます。
「売る側と買う側」という立場が真逆という理由だけで、発する言葉や態度などの景色が全く違ったものになります。「営業は心理学」そんな言葉を聞いたことがありますが、彼らの感想を聞くだけで「その通り!!」と思いました。
「逆の思考に立てば簡単」とはいかないのが人の心理ですが、一方で立場の違いを意識することで営業の姿勢もぐっと変わるのでは・・・。営業の活路は案外自社の社員の言葉にヒントが隠れているかもしれません。