先日名古屋市内の高校で印刷やデザインを学ぶ高校生を対象に組合として印刷業界の話をする機会があり、委員会メンバーで出かけてきました。組合を代表して講師として努めた委員の方の言葉が印象的でした。
担当の先生から「社会人として必要な心構えは」という質問を事前にいただきそれに応えたのが「言われてからやるのは職場では使えない社員」という言葉です。この「使えない」という言葉が私には印象的でした。
「使えない」の言葉で表現したらわずか四文字ですが、かつて教職に付いていた私にとって「使えない」という表現は生徒には耳新しく、そして意外に厳しく響いたのではないかなと思います。
厳しくと書きましたが、決して悪い意味ではなく、「使えない」という表現が社会に出ると通常のようにあるのだということを感じたのではないでしょうか。「使えない」おそらく学生生活では耳にしない言葉ですから。
依存心の強い人はいつの間にか守りの姿勢に入り、減点のないように振舞おうとするとため受身になります。その代表的な行動パターンが「言われてから」のアクション。ようは主体的に動けないとダメですよ・・・ということを実に端的に表現しているなと感じました。
もう一つ印象的だったのは「学校のテストは解答がひとつだが、社会ではベターはなくベストだということ。公式はなく自分で常に考えること」という内容です。確かに最近感じるのは学校の成績が良くても社会人として必要な空気感を読むスキルの不足。
解答を求める気持ちが強いあまり、目先ばかりを追い求めてしまい、全体を捉えることが出来にくくなっているなと感じています。それを見事に伝わりやすく表現する委員の方に感心をしました。
日ごろから社員を俯瞰してみる経営者の言葉だけあって、的確なメッセージで表現されていました。次世代の業界を支える若い人達へのエール。私なら学生目線で耳聞こえのいい話し方をしていたはず。あらためて私も勉強をさせていただきました。