「ありがとうございます」この言葉、人とのコミュニケーシを図っていく上で、なくてはならない言葉です。ところがこの言葉多用しすぎると鬱陶しくなってしまうのです。
先日も保険の更新の電話があり、珍しく家内がイラついて電話をきりました。電話をきったあと「要領が悪い・・・」と一言、どうも質問に答えると念仏のように「ありがとうございます」と言うのだそうです。
本来であれば「ありがとうございます」というのは、相手に対する礼を尽くす言葉ですが、多様化しすぎてしまうとその言葉が台無しになってしまうなということを感じます。
「クレーマー」が増えたこともあり、客商売では特に過度の反応をしがちではないかなと思うことがよくあります。また「おもてなし」という言葉もなにか「サプライズ」と混同されているような気がします。
共通するのは「表面的」であり「一過性」ということ。表面だけ取り繕ってしまい、形だけの言動や行動のため受ける相手もなんだか白々しくなってしまうのだと思うのです。
もちろん礼を尽くす言葉や態度は社会人として必要であり、新入社員の時期に徹底的に教育すべきものですが、そこだけに目を奪われてしまうと、形だけになってしまい、本当の意味でのお客様や周りの方々への感謝の気持ちが伝わらないのではと思うのです。
実はこのありがとうの連発は当社でも感じることがあります。営業の電話応対や、社内では「ありがとうございました」と発して部屋を出てしまう様子は「なんだかなぁ」と思うのです。
いまさらですが、何事もほどほどが大事であり、大切に使ってほしい言葉だと思います。お念仏のように使っていたとしたら、せっかくの美しい言葉も台無しになってしまうなと、あらためて反省の意味も込めつつ感じた次第です。
ありがとうの語源は、「有り難し」。意味は「有ること」が「難い(かたい)」、すなわち「滅多にない」や「珍しくて貴重だ」という意味。そう知ると、言葉の使い方も変わってきます。マニュアル通りではせっかくの言葉も台無しですね。