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こだわっていきたい

先日の自費出版大賞の受賞者のメッセージを聞きながら、あらためて商業出版とは違う著者の強い思いを感じました。圧巻だったのは92才のお年寄り。自身のシベリア抑留を「こぼれ話」として書いたいきさつです。
奥様に貴重な経験を後世に伝えたらと言われ、暗く重たい内容ではなくこぼれ話というエッセイで書いたというスピーチ。確かにご高齢で足元もおぼつかなかったのですが、しっかりとした口調で、冥土の土産ができたと話す様はとても年齢を感じさせません。
また亡くなった娘さんの存命中に生きた証を一冊の本にまとめたり、メッセージの最後に「息子に捧げます」と涙ぐんで話を終える方も見られ、商業出版とは違って売ることよりも「形にしたい」という方が多いのだと感じます。
出版不況と言われています。確かに出版の販売部数は減少し、電子書籍の登場による危機感ばかりが言われています。しかし発行点数は8万点と減少ではなく増えているのです。
出版をする人の数は増えているということは、紙の質感を大切にし、自分の手で書籍を発行したい、こだわって作りたいという人が増えているのではないかと思います。そういう意味での出版はこれからの市場ではないのかなとあらためて思いました。
毎年300点程の自費出版が応募されています。素敵な装丁をした写真集や取材を積み重ねてできた読み物、そして今年の対象は和綴じという日本古来の製本技術で製本されたものが受賞しています。
大賞や賞といったランク付けをしなくてはいけませんが、どの本も「こだわりの一品」としては優劣付きがたいものです。こうした市場はまだまだこれから需要があるのだと改めて感じています。
出版不況と言うものの、実は思いを形にしたい人はたくさんいると思います。我々印刷関連に携わる者はそうした人たちの声を受け止め具現化する責務があると思います。当社も先代から「文字」を大切にしてきた会社。だからこそこだわっていきたいと思っています。
22.7:338:600:0:0:20141011_122257:right:1:1:大賞作品 和綴じを使った素敵な本です:0:
33.9:600:338:0:0:20141011_124718:right:1:1:所狭しと並べられた思いのこもった自費出版本:0:


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