かつて同級生であったお役所の方から一本の電話。「チョット相談があるんだけど…」今や役所は入札ですので、「知り合いだから」「縁があるから」とか、もっと言えば「昨年やっていたから」今年も仕事が来るという場所ではありません。
唯一あるとすれば昨年制作したものの「増刷」でしょうか。こればかりは実際にデータを持っているところの方が「明らかに」安いはずですので…。ところがこの安いはずが・・・どうやらそうでもないようです。
実際にお邪魔して聞かれたのが、その「増刷」について。「○○冊お願いしたら△△円と言われたのだけど、どうしても高く思えて…」と担当者。「ところで最初の製作費を含めた金額はいくら・・・??」と聞くと、■■円。明らかにこの金額が安すぎなのです。
このところ行政がらみの仕事でよくあるのは、落札するための過度のダンピング。そのくせ増刷となると平気でありえない金額を提示するといいます。中には増刷の方が製作費を含んだ最初の金額よりも高いなんて。ブラックユーモアさえもあります。
担当者の同級生も「最近は打ち合わせの業者が本当に信頼できるかさえ怪しい」とぼやいていました。入札競争を決して担当者も快く思っていないようです。それでも落札の基準はあくまで価格オンリーとなるといい仕事ができるわけはありません。
仕事というのはフェイストゥーフェイスでお互いが信頼関係を構築して築き上げて行くもの。「そんなの当たり前ジャン・・・」といわれそうですが、この当たり前が認められないことに疑問を感じてしまいます。
中国の食肉の問題でローソンの取締役である新浪剛史氏は、「価格だけではない、安心・安全・信頼に対する付加価値をきちっと提案し認めてもらう時期だ」と言っていました。こうした著名な人たちが、声を発してくれるのはありがたいと思います。
価格一辺倒と言われている行政関係でも品質やサービスがあまりにひどく、出入り禁止になる業者もあるといいます。価格一辺倒に誰もが疑問を抱きつつあると感じます。
ところでこの同級生、先代の時代に大変お世話になったという事で、連絡してくれたそうです。結局仕事は信頼されること。価格だけではないと誰もがわかっているはず。「すべてはお客様の為に」ですね。