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無理を聞く

この時期、年度初めということもあり、引継ぎ後の仕事に遭遇することがあります。先日もある高校のお客様で進路担当の先生が、引き継いだ仕事でかなり苦労をされていました。引き継いだ前任者が転勤したため、原稿作りに苦戦していたからです。
仕事には納期があります。特に我々のような文字を中心とした仕事は何度も校正のやり取りをすることとなります。ただ原稿が出なくては仕事にもかかれません。今回の場合、なかなか事前に打ち合わせをした期限を過ぎても原稿は出てこない状況でした。
ぎりぎりまで待ってようやく出稿しましたが、期待しているものとは程遠く、大変なことになったと打ち合わせをしながら思った次第です。しかし打ち合わせ後に思わず出てしまった言葉は「大変でしたね」…。
それを聞いた先生「ありがとうございました。その言葉で救われました。」と…。いつ私から電話がかかってくるかもわからず、きっと原稿が遅いことを私が察していることを気づいてくださっていました。
我々の仕事は受注いただいた原稿を形にして印刷して納めること。言ってしまえばそれまでです。約束通りに原稿が出なければ仕事は進みません。しかし杓子定規な対応では成り立たない事も事実です。
「無理を聞く…」この言葉だけ聞くと自虐的な印象が出てしまいますが、この場合の無理は相手の立場を理解するということ。事情を察した対応をすることだと思っています。
先日も当社の社員が協力会社を相手に仕事の進め方について電話で話をしていました。会話の中で彼が気づいたマルワの良さは「フットワークのいいこと」。フットワークという言葉の裏にはお客様の事情を察し、「無理を聞く」という意味があるのではと感じます。
先の「大変でしたね」という言葉には、先方の担当者の置かれた状況を察したからです。「予定通りじゃない」といったところで何も解決しません。相手の状況を察してその後の信頼関係を築く、実は「無理を聞く」という言葉にはそうした意味が隠れていると思っています。
ただ…「無茶」はいけません。無理と無茶は違うのですから…。


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