先日、先輩経営者である設計関係の会社にお邪魔したところ、何やら社長が浮かない顔をしています。「どうされたのですか」とお聞きしたところ、「また社員が辞めてしまってね…」とひと言。何やら三年続けて一年足らずで退職をしているそうです。
この社長創業社長ですが、このところ新卒を毎年採用する為に、企業展や大学の企業説明会にも積極的にブースを出し、新入社員研修にも力を入れています。
「採用前は良いんだけど、四月に入社したとたんに人が変わったように覇気がなくなってしまう・・・」と社長。結局積極性がなく鬱の状態で一年足らずで辞めてしまうというのです。
こうした話はこの会社だけでなく、最近異業種交流の他の会社でもよく聞きます。「ゆとり世代」という言葉を聞いて久しくなりますが、果たしてこの言葉で片付けていいのか正直なところ疑問に思っています。
一方的に新入社員だけに非があるとは思いません。おそらく何らかの足りない部分が会社にもあると思います。従来の育成が合わなくなってきているということを、会社あげて検証しないといけないんだなと…。
一方でこうしたきめ細かな採用をしていても毎年のように退社というのはさすがにへこみますし、あらためて採用の難しさを実感します。当社もささやかですが、採用を続けているものの、10年前の若者の気質と今の若者では俗っぽいですが、辛抱の度合いが違うなと。
それはおそらく会社だけではなく、会社を取り巻く社会が変わってきているのだと思うのです。以前は「転職なんて…」という風潮でしたが、今は転職することに罪悪感はありません。しかし経営側は履歴書の転職の様子も見てしまうのも事実です。
景況感が上向いたといいます。しかし実態はかなり違うと思うのは私だけではないと思います。報道でムードを上げていく事は大切ですが、一方でこうした明るい報道に惑わされて安易に若者が退職してしまう事も事実なのだと思います。
自社の力をつけるのは新卒採用。一方でその分手間暇がかかってしまうから安易に中途採用に走ってしまうのが多いのも事実。何かの原因があるにせよ、その先輩経営者にはぜひこだわって採用を続けて欲しいなと。その繰り返しがきっと定着に結びつくはずですから。