先日お世話になっている中学校に挨拶がてらお邪魔し、校長先生とお話をする機会がありました。この校長先生は女性の方。女性管理職が増えていますが、それでもまだまだ人数は少ないのが現状です。転勤して一年が経過した感想を聞く機会があました。
地域の事情など学校によって行事の進め方ひとつとっても特色があります。校長先生という立場には任期があります。転勤した一年は何も言わず見守るのが一般的。新たな年度を迎える時に、思った事を反映していくのが通常です。
こうした場合多くの要求となり職員は戸惑ってしまいます。同様の現場にいた私にも経験があります。しかしこの校長先生は気が付いた事をその都度伝えたそうです。やっている事が「なんだかおかしい」「同じことをやっていないか」等、正直に思った事を伝えたとか・・・。
ただ気を付けたことがあるそうです。それは「根回し」。この言葉一般的にはいいイメージではないですが、地元の方、PTA役員の方そして父兄等々順序立てて相手の意見や事情を吸い上げながらその都度微調整をして変えたそうです。
ただしこれはかなり高度な技術を要します。通常は自身の立場をまず優先して、思った事そして考えた事を「正しい」ものとして口に出してしまいます。伝えた方は意見を主張しすっきりしますが、言われた方はいろいろな事情を抱えています。
忖度(そんたく)という言葉があります。「相手の心を推し量る」という意味ですが、上に立つ人間ほど、また仕事の調整役にいる人ほど、実はこの言葉を大切にしないといけないなとあらためて感じました。
とかく自身の意見や考えを主張したいもの。一方で言いにくい部分は曖昧な表現で伝えてしまい結果として伝わらない事が多い気がします。先の女性校長、お話を聞いていても実に歯切れがいい感じがしました。
伝えるべきことはきちっと伝える、その背景には忖度する…という気持ちがいつもあるからだと思います。女性の時代をたびたびブログに取り上げますが、男社会だと「男は黙って…」が美徳でしょうか。それがかえってコミュニケーションを滞らせているのだと感じます。