URLをHTTP[S]に変更しました。以前よりブックマークしてくださっている方は、こちらをクリックし、再登録をお願いいたします。

不安を抱えて腹をくくる

先日自動車関連の経営者の方と話す機会がありました。さぞかし景気のいい話が聞けると思っていましたが、発した言葉は「先が不安」という一言。あれだけ自動車販売台数が伸び、リーマン以降最高の利益を…と報道されていただけに意外な一言です。
その不安は、部品の共通化と生産の海外移転だと言います。車種ごとにあった部品を共通化することで全体のコストダウンを図ると言われていますが、確かに企業努力の一例として当然のことだなと思います。
またグローバル化によって、安い人件費を求めるのは企業として当然。物流がグローバル化することで海外で生産することはごくごく普通の経営戦略です。
一方今までは技術革新によって部品点数が増えてきたと言います。一例としては自動車の技術革新は排ガス規制。規制のハードルが上がると部品点数が増えることになり、そこに関わる業者が潤ってきました。
しかし電気自動車が一般消費者の手に届く時代がまじかに迫ってくると、こうした部品点数もぐっと減ってしまいます。景気のいい話を聞いていても、実は先が不安という、先期の経営者の言葉はなるほどなと感じました。
「隣の芝生は青く見える」と言います。印刷業界は深刻な構造不況にあり、パイが年々減少している真っ只中で、てっきり我々だけが苦労しているかと思ったら、よく見えている他業種もそうした不安を抱えているそうです。
「仕事を創り出す」これから求められる企業としての姿勢。当然リスクも伴いますし即効性はないと思います。継続しながら気がついたら新たなビジネスモデルができていた…そんな感じだと思います。
先日の「印刷道」の講演で事例紹介した会社は、どれも長く時間をかけて今のビジネスモデルを作り上げました。要は何かをしたからすぐに結果の出る「バラ色の特効薬」はないということ。経営とは「常に不安を抱えながら何か手を打つ」ことなのだと思います。
先の経営者、昨年末から海外に工場を作り始動しました。ちなみに数年前までは「絶対に海外には行かない」と言っていた彼。彼もまた大きな勝負に出ました。経営とは結局「不安を抱えて腹をくくる」繰り返しなんですね。


タイトルとURLをコピーしました