「美味しい料理を出す秘訣はお客さんが自分だと思って最高の料理を提供することだ…」あの料理の鉄人で有名な陳健一さんの言葉です。自分がお客さんだったとしたらこの料理がおいしいと思うか、そんな気持ちで調理していると言います。
料理の美味しい、まずいはあくまで味覚の問題、美味しいという基準には測る尺度がないだけに、その人のために誠心誠意調理した結果がおいしい料理だと言います。ようはどんな状況でも最善を尽くすことだと。
当たり前のことですが、誰もが認める陳さんだからこそ言葉に説得力があります。その陳さんの人柄でしょうか。終始笑顔でインタビューに答えていました。普段から決して厨房では怒鳴らず、むしろ笑顔でいつも料理に向かうことを心がけているそうです。
私が子供の頃、名古屋で有名な鰻のお店がありました。実はそこに行くのがとてもいやだったことを覚えています。それは厨房からいつもご主人の怒鳴り声が聞こえていたからです。
時代と言えばそれまでですが、せっかく食事をするのにピリピリとした雰囲気で食事をしたくはありません。中華料理の厨房も同様に慌ただしい感じがありますが、陳さんのお店には温か雰囲気が伝わっているそうです。
恥ずかしい話ですが、私はかつて職場でよく怒鳴っていました。もちろん感情的になっていたのでなく、職場に緩い空気が流れていると感じたときにあえてそうしていたように思います。
しかしいま振り返ると、なんともみっともないことをしていたなと思います。最近社員から「社長は丸くなった」と言われます。その言葉には何か懐かしむような気持ちも感じますが、それはあくまで振り返った今だからだと。
お客様に最高の商品とサービスを提供していくのは社員。経営は「社員が自ら課題をもって経営していくこと」であり「社長は指示命令することではない」と…。最高のサービスを具現化するための環境作りにトップは邁進すべきですね。まずは笑顔から…ですか。