ダークパターンにご注意を
通販サイトや会員制サービスを利用していて、「定価の半額以下だと思って購入したら定期購入だった」「退会したいのに手続きできるページが見つからない」などのトラブルを経験したことがある人もいるのではないでしょうか。
このようなトラブルは世界的に問題になっており、法による規制が強化されつつありますが、騙されたりしないためには、「自衛」することが重要です。
目次
●意図しない(不利な)判断に誘導するデザイン=ダークパターンの横行
特定の情報を隠したり、探しにくくしたりして、利用者が本来意図していなかった選択・決定へと利用者を誘導するようなデザイン・ユーザーインターフェース(UI:画面の見た目や操作性)である「ダークパターン」が横行しています。
ダークパターンには次のように様々な手法があります。
偽の緊急性 | ・「○日まで!」やタイマーによる時間制限表示などで利用者を急かす ・残りあとわずかであることを過剰にアピールして急かす |
こっそり行う | ・送料や手数料、オプションなどが最終の決済画面まで表示されない(商品は安いが最終的な金額は高い) ・利用者に個人情報の利用目的を明示せず(情報提供への同意を得ず)に個人情報を入力させる ・初回無料で商品を提供する事だけ表示しておき、利用者が自ら解約しない限りは自動的に定期購入とする(半強制的に定期購入契約をさせる) |
執拗に繰り返す | ・会員登録や通知許可、カートへの追加を促すポップアップなどを、許可するまで繰り返し表示させる |
強制する | ・サービス利用に必須ではない情報の提供やアプリ間連携を強制する ・メルマガ購読やレビュー掲載を強制する ・デフォルトで「定期購入」や「入会する」にチェックが入っている(利用者が解除しない限り強制される) |
妨害する | ・ネット上で入会できるのに、退会は電話でしか受け付けない ・利用停止操作時に大量のアンケートへの回答を要求する ・問い合わせページなどに簡単には辿り着けないようにする ・曖昧な表現を使って、利用者を誤解させる(二重否定など) |
インターフェース干渉 | ・特定の表示や商品を目立たせてその他の選択肢をわかりにくくする ・ポップアップ画面を閉じるだけでアプリがダウンロードされるよう仕込む ・購入手続き中の画面で「次へ」など次の操作に進むためのように見えるボタンを押すと決済が完了するよう仕込む |
社会的証明でアピールする | ・著名人によるものと偽ったレビューなどで騙す(誇張する) ・「○人が今カートに入れています」など、他人の活動や興味を誇張する |
特に、「お試し無料」と表記されていても、実際には定期購入が必須条件だった、「いつでも解約可能」と表記されていても、実際には解約には一定の条件がある(または電話でしか解約できずなかなか電話が繋がらない)などの、定期購入トラブルが多発しています。
●ダークパターンへの対策=手口を知ること
ダークパターンによるトラブルを避けるためには、そのような手法(手口)があるということを知り、普段から注意しておくことが重要です。
そのうえで、次のようなことを意識して、かつ、落ち着いて確認するようにしましょう。
- 他のサイトと比較して、安すぎる場合は疑う
- 「今だけ初回○○円(無料)!」等の期間限定に惑わされない
- 画面上の小さな文字や表示を注意深く確認する
- 話題性のある(人気の)通販サイトやサービスでも、規約等をよく読んで、購入・入会は慎重に判断する
- 決済画面や商品表示画面などをスクリーンショットなどで記録しておく(証拠を残す)
なお、ネット上での通販・入会等の場合、特定商取引法上のクーリングオフ※は適用されません。通販サイトやサービスのサイトに記載されている規約や返品・退会条件をよく確認しておきましょう。
※ 訪問販売やキャッチセールスと異なり、ネット通販やWEBサイトからの契約の場合、自ら入力等を行っているので、規約等に自ら同意して購入・契約をしていると解釈され、クーリングオフは適用されません。
●提供者はダークパターンになっていないか注意する
ダークパターンは利用者の自由な選択を歪めてしまう可能性のある手法であり、特定商取引法や景品表示法、または個人情報保護法への違反に該当する場合もあります。
通販サイトや会員サービスを提供する、またはそれらのWEBサイトを作成する側は、意図的なダークパターン採用もちろんNGとして、意図せずにダークパターンになってしまっていないか、公開(提供)前に入念に確認しておきましょう。
商品説明ページ(特に最初のページ)や会員登録、申し込み・購入フォーム等の表示や設定が次のようになっていると、トラブルに繋がる可能性があります。
●メルマガ登録、個人情報の取得等がオプトアウトになっている(初期値では「登録」「同意」が選択されていて、利用者が設定を変更しないと解除されない)
→オプトイン(利用者が選択しないと登録・同意できない)にする
●入会・購入を促す表示ばかり目立たせて、退会・解約の方法や条件等が表示されていない(またはわかりにくい)
→WEBサイトのわかりやすい場所に退会・解約ページへのリンクを表示する、トップページの上部や下部からすぐにアクセスできるようにする
●入会・購入を促す表示ばかり目立たせて、退会・解約の方法や条件等が表示されていない(またはわかりにくい)
→WEBサイトのわかりやすい場所に退会・解約ページへのリンクを表示する、トップページの上部や下部からすぐにアクセスできるようにする
●個人情報を取得するフォームに利用目的が明示されていない、情報取得への同意を得る設定がない
→個人情報の利用目的を明示する(明示した目的以外で情報を利用しない)+利用者が「同意する」ボタンを押さないと情報が送信されないように設定する
●常にその価格や条件で販売しているのに、「今だけ」「期間限定」等と表記する
→正しい情報を表示する
「競合他社がその手法で利益を得ている」「短期的な利益が得やすい」などの理由から、意図的に、またはそれとは知らずに、ダークパターンを用いてしまう提供者もいるかもしれませんが、自社の商品やサービスを選んでくれる利用者のために、適切で利用しやすく、わかりやすいサイトデザイン・UIを採用するようにしましょう。